2018 Fiscal Year Annual Research Report
離散観測された連続時間・空間確率過程に対するノンパラメトリックな統計手法の開発
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18H05679
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
栗栖 大輔 東京工業大学, 工学院, 助教 (70825835)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | ノンパラメトリック推定 / 高頻度データ分析 / 定量的リスク管理 / レヴィ過程 / レヴィ駆動型確率微分方程式 / 空間回帰モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は主に (1)レヴィ駆動型オルンシュタイン・ウーレンベック(OU)過程のレヴィ測度のノンパラメトリックな推定方法の開発 (2)空間回帰過モデルのノンパラメトリックな推定方法の開発 に取り組んだ。(1)ではレヴィ駆動型OU過程の定常分布の特性関数を利用するスペクトル推定量を新たに提案し、その漸近的性質を調べた。特に推定量の(a)デザインポイントの数が有限の場合、(b)ポイント数が観測数の増加に従って増えていく場合において、近年開発された高次元ベクトルに対するガウス近似の結果を応用してそれぞれ推定量に対する多次元中心極限定理、高次元中心極限定理を導出した。また推定量を計算する際に必要になるバンド幅の選択に関してデータ駆動型の実用的な方法も提案した。(2)ではデータの観測間隔が密になり観測領域が拡大していく漸近論 (domain expanding and infill asymptotics, DEI) の下でノンパラメトリックな空間回帰モデルの平均・分散関数に対するカーネル推定量の漸近的性質を調べた。具体的には平均関数、分散関数それぞれに対してDEIの枠組みにおいて多次元中心極限定理を初めて導出した。また(2)においても推定量の計算にあたって必要なバンド幅の選択に関して視覚的な情報を利用するデータ駆動型の実用的な方法も併せて提案した。以上の研究で得られた成果を論文にまとめ、国内外の学会で発表し、国際学術誌に投稿した。さらに当初計画していたレヴィ過程を高頻度離散観測する状況におけるレヴィ密度のノンパラメトリック推定(研究(3))に関してもその研究成果を論文にまとめ国際誌投稿し、現在 revise を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究成果の内(1)については当初の研究目的を達成し、(2)についてはほぼ達成し、実用上は十分な結果を得ることができた。またそれぞれを国際的に権威のある学術誌である Statistics and Probability Letters、Electronic Journal of Statistics に投稿し、revision を求められ再投稿を行った。これらの成果に加えて当初計画していたレヴィ過程を高頻度離散観測する状況におけるレヴィ密度のノンパラメトリック推定(研究(3))に関してもその研究成果をまとめ、当該分野において国際的に評価の高い学術誌 Stochastic Processes and their Applications に投稿し、revision を求められ再投稿を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画は平成30年度でほぼ達成されたため、次年度以降はすでに得られた研究成果をより発展させることを目標とする。まず研究(1)、(3)についてその結果をより一般のアファイン過程やレヴィ駆動型ジャンプ(拡散)過程に対して拡張することが考えられる。特に近年計量ファイナンスの分野では局所安定過程と呼ばれる確率過程(レヴィ駆動型確率過程の一種)を用いた資産価格のモデリングやそのモデルの統計的推測が注目されている。このようなモデルに対して研究(3)の結果が拡張できればより柔軟な金融データのモデリングと金融資産の統計的リスク管理を行うことが可能になる。
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