2020 Fiscal Year Annual Research Report
The empirical study on tax aggressiveness of international companies
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19K20884
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
岩崎 瑛美 松山大学, 経営学部, 講師 (20824577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 税務会計 / 税負担削減行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,わが国多国籍企業が国家間の税制の抜け穴を利用した租税回避を戦略的に実施し,税制改正による影響に対処することで税コストを最小化しているかどうかを明らかにすることであった。 近年,米国多国籍企業が,税制の抜け穴を利用した租税回避を行うことにより,企業グループの税負担を軽減する問題である「税源侵食と利益移転」(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)が生じている。このBEPS問題に対処するために,わが国では,平成27年度税制改正によって,外国子会社配当益金不算入制度を改正し,国際的な二重非課税に対応している。先行研究においても,多国籍企業が内国企業よりも税負担を軽減する傾向にあることが明らかになっている。しかし,企業の税務処理を請け負うわが国の税務専門家が,税制の抜け穴を利用した税負担の削減を行わない傾向にある。 そこで,本研究では,わが国に親会社を有する多国籍企業(以下,わが国多国籍企業)が,税制改正の影響に対処し,戦略的に国際税務戦略を行っているかどうかを検証した。わが国多国籍企業が国際税務戦略を行っているならば,それらの企業の特徴及び税務行動を明らかにすることで,企業の税務計画や政策立案に有用な情報を提供することができ,税務会計研究に貢献すると考えられる。 分析の結果,平成27年度税制改正後,日本親会社が第3国に所在する中間子会社を利用する可能性は低下していることが示唆された。したがって,わが国多国籍企業は,税制改正に対応し,企業の所有権構造を変化させることにより,戦略的に税負担を軽減していると考えられる。 本研究では,わが国多国籍企業が国際的な税務戦略を実施しており,税制改正による影響に対処することで税コストを最小化していることを指摘した点で,税務会計研究に貢献している。
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