2018 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of the Economic Cooperation to Thailand
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18H05685
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
櫻井 宏明 文教大学, 経営学部, 講師 (40827763)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | タイ / 経済協力 / 援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の貧困削減に直接裨益しうる援助(経済協力、ODA)の経済効果については、世界中の経済学者や国際機関などが盛んに研究しているが、いまだに統一的な見解がない。 こうした中、日本は1970年代後半から東南アジア地域を支援を行っており、インフラ整備を中心とした日本のODAがその後の民間直接投資を呼び込む形で経済発展の少なくとも一部に貢献しているようにみえる。 本研究はその中心として機能していると思われるタイへの経済協力に関する効果について分析を行うことで今後の経済協力の在り方を示唆することを通じ、世界の貧困削減への貢献を目指すこととしている。 このうち、1年目にあたる2018年度には研究に必要なデータ収集及び分析を行った。より具体的には、タイへのデータ収集出張及び日本国内におけるデータ収集を行い、データセットを作成した。その上で、対タイ経済協力が経済成長に与えた影響、同じく対タイ経済協力が財政状況に与えた影響、援助機関同士の関係による援助量の変化、に関する3本の論文を作成した。 その成果として、対タイ経済協力については、経済協力が生産力増強効果をもたらすことにより経済成長に貢献したことが考えられること、対タイ経済協力により緩くなる財政状態に対してタイ政府も無駄遣いすることなく執行できたこと、援助機関間には長期的には緩い連携があるものの、短期的には先導、追随の関係があまりなく案件形成につとめてきたこと、などを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は1年目にデータ収集及び分析を実施することを通じて論文を作成すること、2年目には作成した論文を学会発表等やディスカッションペーパーでの公開を通じて内容を洗練させることとしている。 予定通り、1年目にデータ収集及び分析を実施することで3本の論文を作成できた。 また、2年目となる本年では3本の論文のうち、1本の論文については学会発表が決定、もう1本については学会発表の申請を行っているところである。 このように、本研究はほぼ計画通り進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
・経済協力と経済成長に関する内容は、2019年7月にタイ(チュラロンコン大学)で開催予定の世界地域学会・アジア大洋州分科会タイ支部にて発表することが決定している。 ・援助機関同士の関係については、2019年9月に福岡(久留米大学)で開催予定の日本地域学会年次総会にて発表すべく申請中。 ・年度内にはこれら論文について改良を行った上で、いくつかはディスカッションペーパー等として発表していきたい。
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