2018 Fiscal Year Annual Research Report
プロイセンの国民経済の形成期に多国籍化する家族企業の利害構造の解明
Project/Area Number |
18H05686
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
竹原 有吾 学習院大学, 経済学部, 准教授 (80823591)
|
Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
|
Keywords | ユダヤ教徒 / プロイセン王国 / 国民経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際的にビジネスを展開したユダヤ教徒の一族が、国民経済の形成が進む中で、ビジネスの利害を一族の間でどのように調整していたのかを調査・分析し、その実態を明らかにすることを目的としている。この研究の目的を踏まえて、特にプロイセン王国を拠点として国際的にビジネスを展開したユダヤ教徒の一族に焦点を当てることで研究を進めてきた。 初年度は先行研究の整理を行いながら、第一に、分析対象としたユダヤ教徒の一族がどのような都市を拠点としてビジネスを国際的に展開するようになったのかを調査・分析することにした。実際に、国際的にビジネスを展開する際に最初に拠点とした都市を訪問して調査することを通して、国際展開を試みた要因を具体的に検討した。そして、いくつかの仮説を立てることができた。また第二に、実際にユダヤ教徒の一族の経済活動について分析できる史料がどの程度、残っているのかを調べるため、史料調査にも力を入れた。その結果、実際の取引がわかる史料に関してはあまり確認できなかったが、ビジネスの全体像を把握するための文献や史料を発見することができた。初年度は、基本的に史料の調査・収集に注力することを当初から計画していたが、そうした史料調査を進めていく中で、国際的にビジネスを展開していたユダヤ教徒の一族同士の利害関係について、その実態を少しずつ明らかにすることができた。まだ分析中ではあるが、同じ一族であっても、経済活動の拠点が別々になった家族同士では、商取引において利害対立が生じていた可能性が見えてきた。このことは、具体的にどのような利害対立であったのかをこれから分析していくことによって、本研究の課題解決において重要な意味を持つことになるのではないかと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した通りに文献や史料等の調査を実施することができたため。そして、その調査で得られた情報には、本研究の課題解決に役立つと思われるものも含まれていたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
第一に、初年度の研究成果を踏まえて、ユダヤ教徒の一族が国際展開を試みた要因に関する仮説の検証を行っていく。また第二に、経済活動の拠点が別々になった家族同士がどのような利害関係にあったのかをより具体的に明らかにするため、初年度に収集した文献や史料の整理・分析をさらに進めていく。これらの研究を進めていく中で、他にも、まだ手に入れていない文献や史料が必要になった場合には、適宜、史料調査を実施する予定である。2019年度は、本研究課題の最終年度ということで、最終的には本研究の成果を論文としてまとめていくことにしたい。
|