2020 Fiscal Year Research-status Report
プロイセンの国民経済の形成期に多国籍化する家族企業の利害構造の解明
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19K20887
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
竹原 有吾 学習院大学, 経済学部, 准教授 (80823591)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ダイナスティ |
Outline of Annual Research Achievements |
国民経済が形成され、アイデンティティとして国民意識が現れてきている中で、世界各国のビジネスで活躍するようになったユダヤ教徒の一族がいた。その一族に焦点を当てて、なぜ世界各国で活躍することができたのかについて検討してきた。 これまでに「同じ一族であっても、経済活動の拠点が別々になった家族同士では、商取引において利害対立が生じていた可能性」が判明し、一族の中でビジネスにおける協力関係を築いていたことを、世界各国でその一族が活躍できた要因と見なすのは難しくなった。そのため、「一族の内部でビジネスにおける協力関係がないと考えた場合に、同じ一族であるという事実が、経済活動においてどのような役割を果たしていたのか」といった点を調べてきた。 その結果、史料や文献を調べてわかってきたこととして、たとえ一族の内部に見られる教育活動や生活習慣などが一族の活躍と関係していたと考えたとしても、それを歴史的に明らかにすることは困難であるということであった。また、本研究で調べてきたのは、基本的に父方の一族の名前を継承した人々が中心であったが、そこには、父方の一族の教育活動や生活習慣だけが一族のメンバーの経済活動に影響を与えたと考えることになってしまうといった問題があった。 そこで、別の視点から、世界各国で活躍した一族に関して、そもそも一族の経済活動として一括りに捉えることにどのような意味があり、また一族のメンバーはその一族のメンバーであることをどのように捉えていたのかなどに着目することにした。家族の枠組みの歴史的な変化の中で一族の経済的な活躍をどのように位置づけられるかを検討していくこととし、現在もその考察を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行への対応から、十分な研究時間を確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
家族をテーマにしたこれまでの歴史研究を踏まえ、すでに収集した未公刊の歴史史料や刊行されている史料などを活用して、研究を進めていきたい。考察した内容は、最終的に論文にまとめることにしたい。
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Causes of Carryover |
前年度からすでに学内業務の負担が重い状態であったが、これに新型コロナウイルス感染症の流行への対応といった業務が生じ、十分な研究時間を確保できなかった。ただ2020年度は、刊行されている史料やその史料が作成された時代背景がわかる文献等の収集を進めることができた。2021年度はそうして収集した史料の分析や追加的に必要になった史料・文献の収集に資金を用いていきたい。
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