2018 Fiscal Year Annual Research Report
マクロ・ミクロデータの統計的データ融合とマーケティング・モデルの精緻化
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18H05689
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
猪狩 良介 法政大学, 経営学部, 講師 (00824468)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | マーケティング・サイエンス / 顧客関係性管理 / ベイズ統計学 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は、ミクロデータとマクロデータの統計的データ融合手法を利用した購買間隔モデルの開発を実施した。具体的には、準ベイズ法を利用して、マクロレベルのデータをミクロレベルのデータを利用したモデル内に組み込み、マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法を利用した推定法を提案した。また、他社購買が観測されない不完全データを用いた購買間隔モデルにこの手法を応用した。 マーケティングにおける顧客関係性管理や購買間隔モデルの諸モデルは、一般的に自社データベースの利用を前提としているが、自社データベースには、他社店舗における購買が記録されていない。そのため、もし消費者が他社購買を行っている場合は、自社データベース上に観測される購買間隔は複数の購買間隔の和となり、その和データを分析して得られた推定結果はバイアスがある可能性が高い。そこで本研究では、繰り返しのある購買間隔データに対して、複数の購買間隔の和から本来の母数を正しく推定する方法を提案した。特に、消費者異質性を考慮したガンマFrailtyモデルとベイズ統計学を利用した推定法を提案した。しかし、和データのみから母数を正しく推定することは難しいため、統計的データ融合を利用してマクロレベルの外部情報をモデル内に組み込み、MCMC法による母数の推定法を提案した。 人工データによるシミュレーション研究と購買間隔データに提案手法を適用したところ、マクロ情報がないと母数を適切に推定できないが、マクロ情報を組みこんだ提案モデルでは母数を正しく推定できることがそれぞれ明らかになった。本結果から、不完全なマーケティングデータを分析する際に、マクロ情報を組み込むことで、マーケティング意思決定に有用であることが示された。研究成果は論文としてまとめ、現在海外の査読付雑誌に投稿中である。また、2019年6月に国際学会での発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
購買間隔の和データからマーケティングで広く利用される購買間隔モデルを構築し、実際のマーケティングデータに応用する、という当初の予定通り進捗している。また、既に研究成果は学術論文としてまとめ、現在海外の査読付き雑誌に投稿中である。また、研究成果は、2019年6月に開催される国際学会(INFORMS Marketing Science Conference 2019)での発表が既に内定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施した研究は、複数の購買間隔が累積されている和データから、本来の母数を正しく推定する方法の提案であるが、「観測されている購買間隔が何個のデータから構成されているか」という情報を所与としている。今後は、よりマーケティング実務の状況に合わせ、観測されているデータが何個の購買間隔のデータからなるか、を予測するモデルも加えた方法に拡張する予定である。また、その場合、提案モデルが現在よりも複雑になるため、利用している準ベイズ法に適したマルコフ連鎖モンテカルロ法についての検証も実施する予定である。
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Research Products
(2 results)