2019 Fiscal Year Annual Research Report
国境を超える環境問題:黄砂が韓国の子どもの健康に与える影響
Project/Area Number |
19K20892
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
姜 哲敏 早稲田大学, 政治経済学術院, 次席研究員(研究院講師) (40818944)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 黄砂 / 出生時体重 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの目的は、越境大気汚染の健康被害を明らかにすることである。具体的には、出生と気象に関する韓国の行政データを用い、黄砂の飛来が子どもの健康に与える影響を推定する。令和元年度は本プロジェクトの最終年度(2年のうち)にあたるため、以下では期間全体を通じた作業プロセスと成果を簡潔に報告する。 (1)データ整備 出生と気象に関する韓国の行政データの収集・整備を行った。出生については、韓国・ 統計庁が運営するMicroData Integrated Serviceより、2001年から2017年まで生まれた全ての子どもの個票データを入手した。気象については、韓国・気象庁が提供する2000年から2017年まで全国64箇所での気象データを入手し、月ごとの黄砂の飛来日数を算出した。その後、出生・観測地域(Cityレベル)と出生・観測年月をキー変数として両データを突合した。 (2)推定 構築したデータセットを用い、黄砂の飛来日数を説明変数、子どもの健康を被説明変数とする回帰分析を行った。推定結果、黄砂の飛来は子どもの健康に有意な負の影響を与えることが分かった。特に、妊娠初期にあたる1ヶ月目と2ヶ月目に影響が大きかった。妊娠1か月目に黄砂が1日飛来することによって、出生時体重、妊娠週数がそれぞれ約3.6g、0.3週減少し、低出生体重児、極低出生体重児、早産の確率がそれぞれ約0.16%p、0.015%p、0.27%p上昇することが分かった。 尚、以上の成果を2020 European Health Economics Association Conference@The University of Osloにて報告する予定であったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大のため、conferenceがキャンセルになった。
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