2018 Fiscal Year Annual Research Report
都市の縮小化に関する研究-都市間の政策の違いが及ぼす影響への経済学的アプローチ
Project/Area Number |
18H05692
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
豊田 奈穂 関東学院大学, 経済学部, 講師 (00822983)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 都市の縮小化 / 補助制度 / 居住地選択 / 自治体間競争 / 人口減少 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、経済学的なアプローチを通じて地方自治体ごとの政策の違いが都市の縮小化に与える影響を定量的に把握することを目的としている。 本年度は主に居住(住宅)に関わる補助事業の実施状況について全国の1,741市区町村を調査し、補助制度の有無および実施内容に関する情報を収集した。そのうえで、定量分析を行うため、実施状況のデータ化を進めた。その結果、近年では中央政府による地方創生の後押しもあることから、全国の市区町村では定住促進や人口構成の観点から様々な制度が導入されていた。補助制度は比較的年齢の若い世代を対象としていたが、定住性の低い賃貸住宅に対する補助に比べ、長期的な定住が見込まれる分譲住宅の購入(土地購入・住宅建設を含む)に対する補助を導入している地方自治体の方が多い傾向にあることが明らかとなった。これと同時に、各地方自治体における居住(住宅)に対する補助制度の導入の有無と都市構造の関係についても分析した。 加えて、本研究は地方自治体の実際の政策に貢献することも意図しており、都市のコンパクト化(中心市街地の高密度化)に向け、利害関係者との長期間の調整を重ねながら進めてきた都市の現地調査を行った。さらに、人口減少と都市構造に関心を寄せている自治体関係者等が多い学会において研究成果の一部を報告した。 これらの調査結果等を踏まえながら、Feld and Kirchgassener(2001)等の理論モデルを拡張し、同一生活圏を形成する地方自治体ごとの政策の違いがどのような影響を及ぼしているのか、推計モデルの作成を行い検証作業を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は経済学的なアプローチを通じて地方自治体ごとの政策の違いが都市の縮小化に与える影響を定量的に把握することを目的としている。この研究においては全国の1,741市区町村における住宅補助制度に関する実施状況を把握することが必要であり、本年度は実態調査を進めてきた。さらに、既存研究等においても都市構造の転換を図ることの困難性が指摘されているため、積極的に取り組む地方自治体で現地調査を実施した。また、学会等で研究成果の一部を報告しており、初年度の取り組みとしては当初の計画通り進められており、十分であったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は経済学的なアプローチを通じて地方自治体ごとの政策の違いが都市の縮小化に与える影響を定量的に把握することを目的としている。経済学的なアプローチを行う観点から、理論モデルの拡張を行い、同一生活圏を形成する地方自治体ごとの政策の違いがどのような影響を及ぼしているのか、実証分析を行う。今後は一連の研究成果のとりまとめを行い、書籍への掲載やレフェリー付き雑誌に投稿していく予定である。
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Research Products
(2 results)