2018 Fiscal Year Annual Research Report
未観測因子による選択が存在する下での政策の最適な割当ルールの統計的決定手法の開発
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18H05695
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 燕春 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任研究員 (60828656)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 計量経済学 / 統計手法 / 政策評価 / 部分識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、二つの研究政策の最適割り当てルールの統計的決定手法の理論研究を行った。研究方法としは、研究計画の研究計画に記載した通り、平均効用を部分識別し、効用の最大化基準を構築し、漸近性質の導出を行った。 まず、ミニマックスリグレット法に基づいて、効用の最適問題を構築した。未観測因子によって政策を選択する個人が存在する場合には、既存の政策割り当てルールの決定手法では、求められた平均果にバイアスが生じ、それに応じた割り当てルールは最適とならないといった問題がある。このことから、無視可能性を仮定せず、平均効用を部分識別し、その下限を導出した。次に、Empirical Maximum Welfare法を拡張することによって、観測データに未観測因子による政策選択が存在する場合を考慮した、政策の最適な割り当てルールの統計的決定手法を提案した。 また、政策の最適な割り当てルールによって得られた結果とデータから決定された政策割り当てルールによって得られる結果の乖離度の基準である、最悪のケースの平均効用リグレットの漸近性質を導出した。具体的には、サンプルサイズと政策割り当てルールの関数形の複雑度を表すVC 次元との関係(収束速度)を調べた。それを踏まえて、一様収束スピードの向上も考察している。 実証研究として、Jin and Okui (2019)は自信過剰の有無に関するモーメント不等式制約を用いた検定法を提案し、クイズの実験データを用いて非実験者の実際の能力とそれに対する信念に関する自信過剰問題を検証した。この研究は国際学術誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた理論分析は、おおむね順調に行われてきた。ただし、モンテカルロ実験がまだ行われていないため、理論分析の検証が十分にできていない。達成できなかった研究計画は、引き続き、平成28年度に実施することにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は次の研究計画を予定している。 まずは、本年度の理論研究の不十分な点を改良する。次に、開発手法の現実的なパフォーマンスを評価するためのモンテカルロ計算機実験を実施し、理論的に解明した結果の妥当性を確かめる。また、理論開発した手法の実証分析への応用に取り組む。年度末には、これらすべての研究成果を新しい論文としてまとめる。
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