2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H05704
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
尾沼 広基 早稲田大学, 重点領域研究機構, 次席研究員(研究院講師) (30818307)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 家庭防災 / 防災備蓄 / モラルハザード / 自然災害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、家庭防災備蓄行動を妨げている要因の一つであるモラルハザードについて、申請者が2017 年12 月に日本全国を対象に実施した家庭防災アンケート調査データを用いて詳細な分析を行うことを目的としている。特に、自助と共助・公助との関連性について注目し、他者の防災行動が個人自身の防災備蓄行動に及ぼす影響の有無やその程度について検証する。 本年度は、まず、個人防災に関連する最新の研究について追加的な文献調査を行った。特に近年は、行動経済学や社会心理学的な背景を踏まえた実験的アプローチによる研究が行われるようになってきており、そうした研究の知見を参考に分析モデルの構築をする。 次に、データ整理を行い、2017 年12 月に実施した家庭の防災備蓄状況に関するアンケート調査データを分析用データに加工した。そして、分析の第一段階として日本の家庭レベルの防災備蓄の現状や意識に関する基本統計量を示した。また、家庭のアンケート調査では正確な情報を収集することが難しい「公的備蓄状況」に関して、都道府県別のデータ収集を進めた。 さらに、仙台・神戸において防災対策の現状やこれまでの取り組みについて現地調査を実施した。また、研究の途中経過について仙台・神戸の防災研究会で発表し、次年度の分析に向けて有意義なコメントをもらうことができた。 本研究の進展により、自助・共助・公助のバランスについて定量的な議論するきっかけになることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は下記のとおりである。 (1)文献調査:個人防災に関連する最新の研究について追加的な文献調査を行った。(2)データ整理:2017 年12 月に実施した家庭の防災備蓄状況に関するアンケート調査データを分析用データに加工した。(3)統計分析:第一段階として日本の家庭レベルの防災備蓄の現状や意識に関する基本統計量を示した。(4)追加データ収集:都道府県別の「公的備蓄状況」に関するデータの収集を進めた。(5)防災対策の現状把握:仙台・神戸の防災対策の現状やこれまでの取り組みについて現地調査を実施した。(6)セミナー発表:研究の途中経過について仙台・神戸の防災研究会で発表し、次年度の分析に向けて有意義なコメントをもらうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方として、引き続き関連文献のレビューは行いつつ、前年度に統計ソフトによって整理した分析用データを用いてデータ分析を開始する。具体的には、モラルハザードに関連する仮説の検証を行い、分析結果を地理情報システム(GIS)ソフトを用いて可視化する。加えて、前年度に引き続き「公的備蓄状況」に関するデータを収集する。 上記の計画と同時並行で被災地や将来大規模災害の発生が懸念されている地域の現地調査を実施し、防災対策の現状を把握する。 研究成果は国内学会やセミナー等で発表する。
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