2019 Fiscal Year Annual Research Report
実験によるlimited considerationモデルの反証可能性
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19K20903
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
井上 勇太 早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (60823771)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 顕示選好理論 / 限定合理性 / Limited consideration / Limited attention / Rational shortlisting / Bronars' test / Selten's index |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標の一つであるlimited considerationモデル(以下LCモデル)の実証分析をすることに成功した。具体的には、実験により選択データを収集し、その選択データを説明するためのモデルとしてLCモデルが適当であるか、また主要なLCモデルがそれぞれどの程度適当であるかを検討した。早稲田大学のオンライン掲示板を通じて193人の被験者が募集され、被験者がPC上に繰り返し表示される質問に回答した。それぞれの質問には「合計2400円を1ヶ月後・3ヶ月後・5ヶ月後にいくらずつに分割して受け取るか」の選択肢が複数表示され、そのなかから最も好ましい選択肢を被験者は選択した。合計10個の選択肢・20の質問画面が設定されており、それぞれの質問画面には2ー8個の選択肢が表示された。 実験データの収集によって、主要LCモデルと合理的選択モデルのSelten's indexを計算することができる。Selten's indexはあるモデルが観測データを説明するモデルとして適当であるかを評価するための指標であり、主要なLCモデル(AF・CF・CAF・RS・TRSモデル)のうち、AFモデルを除いて合理的選択モデルより高いSelten's indexを獲得した。これは、被験者の選択行動を説明するモデルとして、AFモデルを除くLCモデルの方が合理的選択モデルより適当であることを意味する。さらに、LCモデル間を比較した場合に、CAFモデルが実験データを説明するモデルとして最適であることが明らかになった。特に、実験データのみに着目した場合に差異がみられない異なる2つのモデル間のSelten's indexには大きな隔たりがあることがわかった。このことから、観測データをもとにモデルのもっともらしさを評価する際にはSelten's indexに注目することの重要性を示すことになった。
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Research Products
(2 results)