2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H05707
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
原口 純一 神奈川大学, 経済学部, 助教 (40827929)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 混合寡占市場 / 民営化政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
寡占市場において私企業間の生産性の違いが競争に与える効果が民営化政策に与える影響について、私企業間の非対称性の程度を表すようなパラメータを明示的に導入した分析を行った。政府は公企業を部分的に民営化することができるとし、また、社会厚生を最大にするような民営化政策を行うと仮定した。仮定の下で導出される公企業の民営化比率を社会的に最適な民営化率とし、非対称性の程度を示すパラメータとの関係を議論した。結果として、公企業の私企業の生産性の差に応じて、私企業間の非対称性の程度が増加すると、最適な民営化の程度を大きくなる 場合と非単調になる場合があることを示した。 寡占市場における競争環境の変化が民営化政策に与える影響については以下の二つの分析をおこなった。 (i)企業の参入の影響について分析を行った。公企業が1社存在する市場に私企業が参入し、その後公企業の民営化を行い、最後に数量競争を行うモデルを設定し、参入が民営化に与える影響や民営化が競争に与える影響を議論した。結果として、私企業が全く参入しない場合と公企業をすべて民営化する場合があり、また後者の場合に達成される社会余剰が最も低くなることを示した。 (ii)企業の技術移転の影響について分析を行った。公企業1社と国内私企業と国外私企業が存在する状況を考え、私企業間の無償の技術移転と民営化政策の関係を議論した。結果として私企業間の技術移転の結果を反映して政府が民営化の程度を変更する場合には、国外私企業から国内私企業への無償の技術移転が行われることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
寡占市場において私企業間の生産性の違いが競争に与える効果が民営化政策に与える影響についての研究をまとめ査読付きの国際的な学術誌に投稿し、改定要求を受け改定後再投稿した。 寡占市場における競争環境の変化が民営化政策に与える影響については、企業の参入の影響について分析を行った研究と企業の技術移転の影響について分析を行った研究をそれぞれまとめ、2編の論文にした。どちらの論文についても査読付きの国際的な学術誌に投稿し査読中となっている。 さらにこうした研究に加えて、混合寡占市場における競争構造の内生化に関する2つの研究を行った。(i)私企業の外国資本比率や製品の差別化、外部性の存在が、内生的に競争構造が決定される状況においてどのような効果を持つのか分析し一定の成果を得た。(ii)混合寡占市場における私企業の数が内生的に競争構造が決定される状況においてどのような効果を持つのか分析し一定の成果を得た。 こうした理由から本研究課題の進捗はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
寡占市場において私企業間の生産性の違いが競争に与える効果が民営化政策に与える影響についての研究は現在投稿中の雑誌からの改定要求に応え再投稿を完了している。今後もし追加で改定の必要があれば改定し掲載を目指す。 寡占市場における競争環境の変化が民営化政策に与える影響についての2編の論文についても査読付きの国際的な学術誌に投稿し査読中となっているので、改定の要求があれば改定し、より質の高いものに仕上げ掲載を目指す。 混合寡占市場における競争環境の内生化に関する2つの研究についてもその成果をまとめ査読付きの国際的な学術誌での掲載を目指す。
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