2021 Fiscal Year Annual Research Report
成長と分配を両立させたマクロ経済分析の可能性―ロバートソン経済学の再検討―
Project/Area Number |
19K20906
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
仲北浦 淳基 大正大学, 地域創生学部, 専任講師 (70823095)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経済学説史 / 経済思想史 / マクロ経済学 / ケンブリッジ学派 / D.H. ロバートソン / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マーシャルの系譜をひくD.H.ロバートソンのマクロ的経済理論と人的ネットワークに注目することで、再分配論(厚生論)を維持した経済成長論の可能性を探ることである。そのために、従来、ほとんど研究されてこなかった1930年から1963年(「マクロ経済学」の草創期・発展期)におけるロバートソンの著作・書簡に焦点をあてる。また、分析には計量的なテキスト分析(テキストマイニング)も併せて行ない、その分析手法についても検討を加える。 これらの目的を念頭にして、2021年度には以下の研究を行った。 ①ロバートソンの政府観:費用逓減産業に対する国家介入に関するロバートソンの諸文献(1930年代前半)から彼の政府観を部分的に明らかにした。政府が一時的に赤字を負担して介入することを是認する一方で、その介入を継続的に行なうことには強く反対した。政府による事業への介入は、ある程度の経営の健全性(収益≧費用)が保たれていなければならないという主張が展開されており、この点において彼はピグーと対立していたことが明らかになった。 ②テキストマイニング研究:異なる年代に書かれた同テーマの文書のそれぞれの特徴を浮き彫りにするために、テキストマイニングの「対応分析」が応用できるかどうかを検討した。出現頻度の少ない語が見えにくくなるという課題はあるものの、時系列による文書の変化やそれらの特徴についてある程度は明らかにすることができることが分かった。
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