2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H05711
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
戸部 智 関西学院大学, 総合政策学部, 講師 (00824145)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 金融政策 / 国際的波及経路 / 信用供給量 / 国際資本移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は米国金融政策の国際的波及効果が,影響を受ける国の金融市場の状況に応じて非線形的に異なる可能性を検証する.特に本研究では各国の信用供給量に焦点を当てた分析を行う.先行研究では各国の資本流入や資産価格の変動を説明する共通の要因としてアメリカ国内の金融条件の役割が大きいことが指摘されている一方で,各国固有の条件によって影響を受ける度合いが異なる可能性については十分に注目されてこなかった.しかし,例えば,ある国の信用供給量が大きい時,その国に対する米国金融政策の国際的波及効果は大きくなることが想定される.なぜなら,金融システムの中で対外ショックの影響が増幅されると予想されるからである.本研究では以下の2つの研究を計画している. 研究① 資産価格に対する分析 本研究の基礎となる分析として,先進国の資産価格に対するVIX指数(恐怖指数)の影響を分析する.先行研究においてVIX指数はアメリカ国内の金融条件もしくは同国の金融政策の動向を反映する重要な指標と見なされている.研究①の分析では資産価格に対するVIX指数の影響が各国の信用供給量の状態に応じて非線形的に異なる可能性を検証する. 研究② 国際資本流入に対する分析 更なる検証の為,各国への国際資本流入に対するアメリカ国内の金融条件の影響を分析する.ここではVIX指数の他にも米国金融政策の動向を直接/間接的に反映する指標を利用すると共に,先進国と新興国で結果の差異を観察できるか否かについても検証を行う. 本年度は,研究①に関しては海外セミナーでの発表を行い,そこで得たフィードバックを元にしてワーキングペーパーの改訂を進めることができた.最終的な修正を終え次第,学術雑誌へ投稿する予定である.研究②に関しては暫定的なデータセットを利用した基礎分析を終えた状態にあるが,追加的な経済指標の収集作業が必要であると思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究①に関しては概ね計画通りに進行している.その一方で,研究②に関しては若干の遅れが生じている.暫定的なデータセットを利用した予備分析や追加的な情報収集の結果,当初の予定よりも収集する経済指標を増やす必要が生まれたためである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究①に関しては,最終的な修正と確認が済み次第,学術雑誌へ投稿する.研究②に関しては,夏までにデータ収集と分析作業を終了させる.その後,学会発表が可能な状態に分析結果を整理する.年度内にワーキングペーパーとして取りまとめることを目指す.
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