2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K20908
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
戸部 智 関西学院大学, 総合政策学部, 講師 (00824145)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 米国金融政策 / 国際的波及経路 / 信用供給量 / 国際資本移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,(1)本研究の基礎となる研究成果を海外査読誌に投稿することに加えて,(2)追加の研究成果をワーキングペーパーとして取りまとめることを計画していた.(1)に関しては論文を海外査読誌に投稿したが,掲載には至らなかった.現在,レフェリーからのフィードバックに対応して論文の改訂を進めている.(2)に関しては研究成果をワーキングペーパーの形に整理し終えている.ここでは当初に予定していなかった変数間の動学的な関係の検証にも取り組んだ.具体的には,ローカル・プロジェクションという手法を用いた分析を行った.同手法は動学的な関係を検証する際に頻繁に採用されてきた従来の分析手法と比べて複数の利点があるとされており,この手法の採用は本研究に対して有益に働くものと考えられる.追加的な分析の結果,米国金融政策の国際的波及効果が,貸出成長率の大小といった各国の金融市場の動向や,先進国と新興国のどちらに区分されるのかといった各国の属性に応じて異なるパターンを示すことが明らかになっている.従来の研究では米国における金融政策や同国の金融市場の動向が諸外国に対する国際資本流入や資産価格に与える影響が大きいとされていたものの,国によって影響を受ける度合いが異なる可能性については十分に検証されてこなかった.各国の金融市場の状況や特徴に応じて米国金融政策が諸外国へ与える波及効果の大きさが異なるという規則性を発見したことは本研究の貢献である.今後も引き続き一本目の論文の修正及び再投稿と二本目の論文の精緻化に取り組み,海外査読誌への掲載を目標に研究を進めていく.
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