2018 Fiscal Year Annual Research Report
The comparative study of community power on community rebuilding after the northern California fires
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18H05714
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
落合 知帆 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80582022)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 災害復興 / 住民参加 / カリフォルニア州 / 大火 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①組織形成過程、②個人の住宅再建過程、③行政支援・意思決定、④被災経験の記録と継承とし、イーストベイ火災や他の災害事例と比較しながら、地域性、災害特性、社会特性と、「市民の力」との関係性を明らかにすることを目的としている。 本年は、特に、②個人の住宅再建過程として、住宅再建に立ちはだかる様々な問題(保険交渉、資金調達、子供の教育(学校)等)の対処、個人と各組織との関係性や意思決定の過程を明らかにするため、被災経験者7名に対する聞き取り調査を実施し、被災後約1年~1年半の状況を確認した。想定していた通り、現地はまだ復興が始まったばかりで、保険交渉を終えた住民と現在実施中に住民がおり、住宅再建に関しても再建を決断した住居を変更する住民、市外への引っ越しを決めた住民等、多様である状況にあった。調査対象とした地域は地域の団結が強い側面も見られたが、全ての住民がそれに該当する訳ではない事が見えてきた。 また、①組織形成過程:住宅およびコミュニティ再建において住民組織が果たす役割について、明らかにするため、被災地域で活動していたNGOやNPOを聞き取り調査およびウエブサイト等の検索より選定し、それらの組織の設立趣旨、活動内容、参加メンバー、活動の経年変化を把握し比較した。地域組織には、今回の火災を機に立ち上がったもの、以前から当地域において異なる活動を行っていたものがあることが分かった。 加えて、④被災経験の記録と伝達:過去の被災経験の有効な記録方法を明らかにするため、1991年イーストベイ火災後に建設や設置がなされたモニュメントや展示の場所、目的、内容を現地調査より把握した。また、調査対象とする2つの災害は多くのメディアに取り上げられており記載された内容、特性、その時間的変化について明らかにするため、新聞やウエブ新聞等の情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、2017年に発生した北カリフォルニア州サンタ・ローサおよびナパ・ソノマ地域での火災の調査対象地区および対象者の選定を行った。被災後1-1.5年を経験した被災者の現状を聞き取り調査および新聞やウエブ情報を基に把握することが出来た。引き続き、時間経過による変化や特性を明らかにしていく予定である。 また、1991年に発生したイーストベイ火災は発生から27年が経過しているため、経験の風化が住宅地において見られたが、過去の被災経験が記録されている場所や施設、モニュメント等を把握することが出来、おおむね予定通りの調査が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、2017年10月に北カリフォルニア州サンタ・ローサおよびナパ・ソノマ地域で発生した大規模火災と1991年10月に発生した類似災害であるイーストベイ火災に関して、災害後の復興期に立ち上がった住民組織に着目し比較分析を行う事を目的としている。 今後は住民を対象とした聞き取り調査に加えて、インターネット上に掲載されている支援NGO・NPOの支援体制や活動内容、新聞およびウエブニュースに掲載された関連記事、出版された関連書籍等の分析を行う事で、情報収集および分析を進める予定である。 また、これまでに聞き取り調査を実施した地域住民とウエブメールを介してのコミュニケーションや追加の状況確認を行う。また、現地調査にて現地の住宅再建の状況、行政の対応・政策、地域住民の状況把握を実施する予定である。
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