2018 Fiscal Year Annual Research Report
原発避難者の避難先地域との関係構築と複層的意識構造の解明
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18H05719
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川副 早央里 東洋大学, 社会学部, 助教 (50778660)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 原発事故 / 広域避難 / 軋轢 / 避難者支援 / 避難者の受け入れ |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第一原発事故後、原発避難者と受け入れ住民との間で軋轢が生じ、避難者は差別や偏見を恐れて避難者であることを隠しながら避難生活を 送っている状況がある。本研究では、軋轢の要因を解明し、避難者と避難先住民の共生社会構築に向けた方途を検討する。具体的には、主に避 難者への聞き取り調査を通じて、避難元地域から離れた状況での苦悩や戦略、避難先地域と関わる際の困難や葛藤を明らかにし、避難者のアイ デンティティを類型化したうえで、避難者が二地域とのかかわりの中で抱いく複層的でアンビバレントな意識構造を描きだし、避難者が必要とする支援を検討する。 本研究の初年度となる平成30年度は、文献調査と現地調査を同時並行で進めた。文献調査については、おおむね順調に進めることができ、避難者意識の多面性について概念整理を行い、またホストコミュニティの避難者受け入れの体制および支援の現状について確認をした。現地調査については、避難者の受け入れ先である東京都、福島県、山形県において避難者と支援者に聞き取り調査を行うことができ、近年の避難者受け入れ状況と各避難先での避難者の生活状況、彼らを取り巻く社会状況についての概況を明らかにすることができた。 今後は、避難者への聞き取り調査を重ねるとともに、得られたデータの分析と成果発表に注力していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、文献調査と現地調査を同時並行で進め、避難者と支援者に聞き取り調査を実施する予定であった。文献調査については、おおむね順調に進めることができ、現地調査についても、東京都、福島県、山形県の避難者と支援者に対して聞き取り調査を行うことができた。ただし、聞き取り調査については、避難者の帰還や支援の打ち切り等、避難者を取り巻く環境や状況が変化した時期と重なることもあり、インフォーマント探しに時間がかかり、またインフォーマントが見つかった後も調査日時の調整が難航したことから、予定していた人数に対して聞き取り調査を実施することができなかった。聞き取り調査によるデータ収集が遅れたことにより、分析および成果の発表にも遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の二年目となる平成31年度は、現地調査、データの分析、成果の発表に取り組んでいく予定である。一年目に行いきれなかった現地での聞き取り調査については、これまでの調査協力者等からの協力も得ながら企画し、状況によっては調査対象地域を限定するか、類似する他地域等に変更するなどして対応していきたいと考えている。
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