2020 Fiscal Year Research-status Report
原発避難者の避難先地域との関係構築と複層的意識構造の解明
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19K20916
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川副 早央里 東洋大学, 社会学部, 助教 (50778660)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原発事故 / 広域避難 / 軋轢 / 避難者の受け入れ / 避難者支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続き、原発事故の避難者と避難先住民の関係性の解明、避難元から離れた状態での苦悩や戦略について聞き取り調査で明らかにすること、それらの調査結果に基づいて避難者のアイデンティティを類型化し意識構造を分析すること、その成果を学会等で発表することを予定していた。特に、昨年度終えることができなかった現地調査を実施すること、そしてそのデータに基づいて分析を行い、成果発表につなげることを目指していた。 しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により、フィールドワークができずにデータ収集に遅れが生じ、結果、分析や成果発表も予定した通りに進めることができなかった。 その代わりに、過去のインタビュー記録の再整理、対応可能な調査対象者へのオンラインインタビュー実施、文献収集と分析を行った。これらの分析結果は博士論文に組み込むかたちで現在執筆作業を進めているところである。 また、成果発表という点では、研究に基づいて第7回シニア社会学会シンポジウム「あれから10年~わたしたちはフクシマを忘れない<富岡町と浪江町の10年目>」を企画し、司会進行を務めた。このシンポジウムでは、主に避難元地域で生活や仕事を再開した方々に焦点を当て、原発事故発生から10年目の地域再生や生活回復の状況について明らかにするとともに、今後の課題についても議論した。 次年度は、オンラインインタビューの経験等も生かしながら、足りない分の調査を進め、データの分析と成果発表に注力したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、感染が拡大している首都圏内での移動や、東京から福島県や山形県への出張が困難であったため、予定していた現地調査を実施することができなかった。また、急遽大学での授業がオンライン授業になり通常以上に授業準備に時間がかかったことなどから、本研究に取り組む時間を十分に確保できなかった。データ収集が遅れたことにより、分析作業、そして成果発表にも遅れが出てしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、第一に、一部終えられていない聞き取り調査を行う。新型コロナウイルス感染拡大が続くことを想定しながら、感染状況を鑑みてフィールドワークの可能性を探りつつも、昨年度トライアル的に導入したオンラインインタビューを本格的に活用することを検討していく。万が一、予定していたデータをすべて入手することができなかった場合には、すでに実施した調査データをもとに分析を進め、学会発表および論文執筆により、確実に研究成果の発表につなげたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、当初より計画していた現地調査を実施することができず、それに伴ってインタビューデータのテープ起こしや分析時に必要となる経費を予定通り支出することができなかった。次年度は、研究費残額の5割程度を旅費として使用して山形県、福島県、関東近郊での現地調査を行い、2割程度をインタビューデータのテープ起こし、2割程度を図書購入費、1割程度を消耗品費として支出する予定であり、遅れている分のデータ収集および分析、そして研究成果を着実に実現したいと考えている。
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