2019 Fiscal Year Annual Research Report
代理によるミュンヒハウゼン症候群の早期発見・早期対応に向けたチェックリストの開発
Project/Area Number |
19K20920
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hamamatsu Gakuin University |
Principal Investigator |
小楠 美貴 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 講師 (40829024)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 児童虐待 / 代理によるミュンヒハウゼン症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親が子どもの病気をねつ造し、子どもを病気にして医師に治療を受けさせようとする虐待(代理によるミュンヒハウゼン症候群:Munchausen Syndrome by Proxy、以下MSBP)の被害を受けた子どもと虐待を行った親に関する具体的な状況を把握し、MSBPが生じた背景要因とその課題を明らかにすることを目的としている。 2018年度は、系統的レビューの手法を通じて、MSBPの被害を受けた子どもが入院に至っても親(加害者)と完全な分離をしなければ虐待を受け続け、身体的被害が深刻化すると死に至る可能性が高いことを明らかにした。また、全国の医療ソーシャルワーカー289名を対象に質問紙調査を実施し、MSBPが疑われたケースに関わった人は22.5%(65名)、MSBPのケースを通告した人は12.4%(35名)、MSBPのケースについて他機関から相談を受けた人は7.1%(20名)であることを示した。また、MSBPのケースを他機関へ相談した人は18.6%(52名)であり、相談先は児童相談所と市の担当課が多いことが明らかにした。 2019年度は、医療ソーシャルワーカーへの聞き取り調査を通じて、MSBPについては初期対応時から医療専門職が高い専門性を持って子どもやきょうだいのこれまでの病歴を確実に把握し、親子分離に向けて慎重に対応をはかる必要があることを明らかにした。その一方で、医療ソーシャルワーカーが他機関へMSBPに関する相談を希望していたものの他機関との連携方法が不明確であり、相談をためらっていることが示唆された。
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