2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K20935
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
間中 光 追手門学院大学, 地域創造学部, 講師 (30823546)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 災害遺構 / インド等大津波 / 観光 / インドネシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は2度に渡り、インドネシア・アチェ州に渡航し、キーパーソンに対する半構造化インタビュー、既存資料の収集、及び被災世帯に対する質問票調査を行った。特に、質問票調査では、災害遺構「PLTD Apung」のあるプンゲ・バラン・チュッ村住民(1,512世帯:5,684人)の中から、1)PLTD Apungの周囲200mに居住する世帯、2)被災前より同村に居住していた世帯、という2つの条件に当てはまる世帯を抽出し、その中から協力が得られた50世帯に対して、訪問面接調査法に基づく質問票調査を実施した。 同調査では、被災後の15年の歳月を4つに分け、各時期における、世帯ごとの災害遺構の利用目的とその頻度について尋ねるとともに、被調査者の災害遺構に対する印象・保存の是非の推移について尋ねた。その結果、次の2点が明らかになった。1)インドネシアを代表する災害遺構であるPLTD Apungでは、被災後15年の中で、住民たちによって「災害の風化防止」「防災教育への活用」といったことにとどまらない様々な利用が行われてきたが、その内容については、復旧復興プロセス、及び災害遺構化の進捗状況にあわせて変化している。2)災害遺構をどのような場所として利用するのかという点は、住民のまなざしの変化にも影響を与えている可能性が高い。 こうした研究成果は、災害遺構を被災社会の復旧・復興という時間的広がりの中で捉える視座の可能性を明らかにした点に独創性を有する。
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