2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental research on students performance for solving problem statistically
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19K20947
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
大谷 洋貴 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (40825238)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 統計教育 / 数学教育 / 統計的探究 |
Outline of Annual Research Achievements |
教育が未来への投資であることを踏まえれば,統計教育は最も重要な今日的主題である。本研究の目的は,統計的探究能力の育成を目指した能力ベース統計カリキュラムを開発するために,統計的探究能力の段階的な発達過程を構築することである。統計的探究プロセスを実現しようとする国内外の先行研究は多いが,その能力の育成に取り組む研究はほとんどなく,カリキュラム開発のための理論的基盤も整備されていない。 この目的を達成するために,本研究では,理論的な面と実践的な面からアプローチした。理論的検討については,統計的探究能力の育成という観点からこれまでの研究成果の再解釈をおこなった。また,近年の統計教育研究の成果から,統計的探究の活動自体についても検討を加えた。実践的検討については,授業実践の成果と課題から統計的探究能力の段階的な発達過程を検討した。理論と実践の両面から段階的な発達過程の構築に向けた考察を行った。 我が国の統計教育の研究や実践では,Wild & Pfannkuchの統計的思考モデルを規範的に利用し,統計的探究の実現が目指されてきた。このモデルを統計的探究能力の育成という観点から検討することで活動の質にグラデーションをつけることができ,そしてその観点からこれまでの研究成果を分析することで能力育成のために必要な学習経験についての示唆を得ることができた。一方,実践的な面では能力育成上の難しさについて示唆を得たが,これについてはまだ論文化できていないため今後の取り組みになる。また,理論的検討を通して,我が国の統計教育で取り扱われている統計的探究が狭い解釈であることも明らかにした。例えば,ICTを用いた確率に基づくアプローチを統計的探究に位置付けられることや,スキージャンプ競技についての知識などの非統計的知識が統計的探究の実行に大きな影響を及ぼすことも明らかにすることができた。
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