2021 Fiscal Year Research-status Report
インプットが第二言語産出時における統語処理プロセスの自動化に及ぼす影響
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19K20949
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱田 真由 神戸大学, 大学教育推進機構, 助教 (40828696)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 統語的プライミング効果 / インプット / 第二言語産出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本人英語学習者を対象に、特定の統語構造の音声提示を伴う絵描写課題を用いて、インプットに含まれる構造の頻度および使用語彙の多様性が、学習者の続く目標構造の産出に影響を及ぼすのかについて検証する。 近年、目標構造の産出を促すために統語的プライミング手法を用いた研究が行われつつあり、また、その学習時のメカニズムについても検証されている。潜在学習モデルにおいては、特定の文構造へ反復接触することで統語表象が強化され、潜在学習が起こるとされており、本研究では、インプットの目標構造の出現頻度が統語的プライミング効果に及ぼす影響について調査を行う。また、統語的プライミング効果が見られなかった構文に対する影響も検証し、学習者の脳内に統語表象をどのように定着させることができるのかについて検証する。この実験は、日本人英語学習者をはじめとする外国語学習者の統語産出能力がどのように自動化し、脳内統語表象が宣言的知識から手続き的知識に移行していくのかについて明らかにするものであり、また、第二言語の音声コミュニケーションにおける話者の統語構造の検索・引き出しの自動化を目指す研究および教育の発展に寄与するものである。 令和3年度は、本研究に関する先行研究の更なる調査、実験計画および実験手法の再検討、心理学実験ソフトを用いて心理言語学的実験で使用する実験ファイルの作成、また、予備実験を行った。令和4年度中にデータ収集・分析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、先行研究に基づいた実験刺激文の作成・実験実施の後、実験により得られた結果を基に実験刺激文内の統語構造の割合の調整等を行った後、更なる実験実施・データ分析を行う計画であったが、新型コロナウイルス感染拡大により、実験手法の再度の検討が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、心理言語学的実験のために作成した刺激文・実験ファイルを用い、対面および遠隔で日本人大学生を対象とした実験の実施・実験データの集積および分析を行う。 得られた結果に基づき、総合的考察を行い、報告書にまとめる。また、これらの結果は学会および研究会で発表を行い、学術論文としても公刊する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、実験方法および実験実施時期が変更となったため。実験の準備は整っているため、今後、前述の実験を実施する際の人件費・謝金として使用する。
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Research Products
(3 results)