2018 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者の親元からの独立とQuality of life
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18H05758
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yamaguchi Gakugei College |
Principal Investigator |
立田 瑞穂 山口学芸大学, 教育学部, 講師 (50826154)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 親元からの独立 / 知的障害 / Quality of life / 自立支援 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の知的障害者のQuality of life (QOL)について、親元からの独立がQOLに与える影響を明らかにし、知的障害者の自立や社会参加を進める支援や課題について検討していこうとするものである。今回の研究では、既に一人暮らしやパートナーと暮らしている比較的年齢の若い知的障害者に焦点を当てているが、多様な自立モデルや支援環境を検討していくため、諸外国の知的障害者の事例との比較も行う。 2018年度は、研究初年度であり、日本とデンマークでのインタビュー調査を実施した。研究協力者は、日本では知的障害者(以下、本人)21名とその支援者13名、デンマークでは本人15名、家族13名、支援者11名であった。日本でも当初家族へのインタビューを想定していたが、家族との間に複雑な事情があるために一人暮らしをしている者が多く、今回はいずれの協力者についても家族へのアクセスは難しかった。しかし、当初予定していたよりも多くの本人からの協力を得ることができ、一人暮らしの選択の経緯、その前後での支援が個々のQOLに与える影響を明らかにするうえで貴重なデータが得られた。また、成人後も家族同居が多い日本と比べ、若い年齢で親元からの独立を支援するシステムがあるデンマークとの比較は、今後の日本の自立支援のあり方を問う資料としての意義は大きい。 これまでの成果として、論文「デンマークにおける知的障害者の親元からの独立」(発達障害研究41巻1号掲載予定)の執筆、国際学会での口頭発表「The Process of Living Independent of Families of Individuals with Intellectual Disabilities in Denmark」(Nordic Network on Disability Research, 2019年5月)を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を開始した2018年度は、上述したように、日本とデンマークにおいて、本人、家族、支援者とのインタビュー調査を予定通り進めることができた。デンマークでの調査も含め、当初の予定より多くのデータが得られ、現在、データの分析作業に時間を要しているところである。日本での調査第2段階として、2018年度中に、家族同居中の本人と、一人暮らしをしている本人を対象とした調査(フォーカスグループインタビュー)を行う予定であったが、これについてはやや準備が遅れ、現在実施に向けての作業を進めているところである。調査協力者との日程調整や、データ分析作業等に関しては、予想以上に時間を要する状況があるものの、これまでの調査状況を踏まえ、研究全体の進捗状況としては「(2)おおむね順調に進展している。」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、日本での調査(上述のフォーカスグループインタビュー)を実施するほか、オーストラリア(メルボルン)での調査を予定している。オーストラリアは、知的障害者の親元からの独立に関して、日本とデンマークの中間的な状況にあると予想しているが、本人、家族、支援者への個別インタビュー及び、社会制度やサービスに関する情報収集を行う予定である。 また、これまで得られたデータについては、分析作業と論文執筆を進める。本研究の中間報告として、日本発達障害学会(8月)、国際知的・発達障害学会(IASSIDD、8月)での発表を予定している。 研究最終年度でもあり、予定している調査の遂行と研究成果の発表に努める。
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