2018 Fiscal Year Annual Research Report
教科別の指導を通した知的障害児の問題解決能力の形成に向けた学習支援システムの構築
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18H05762
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
今枝 史雄 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70824118)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 知的障害 / 問題解決能力 / 学習プログラム / 社会科 / 理科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで知的障害教育でほとんど取り組まれていない社会科、理科といった教科別の指導を基に、問題解決能力の形成に向けた学習プログラムの作成および有効性の検証を行い、特別支援学校における知的障害児に対する問題解決能力の形成に向けた学習支援システムの構築を行うことを目的とした研究である。 平成30年度は研究2:知的障害児の問題解決能力の形成に向けた学習プログラムの作成に取組んだ。成人期知的障害者の生涯学習支援として、東京学芸大学で1995年より取組まれいてるオープンカレッジ東京において、問題解決能力の形成に向けた学習プログラムとして社会科および理科プログラムの作成を行った。社会科プログラムは地理的な内容が主で、知的障害者の興味・関心に合わせ、さまざまな食材を比較するという内容となっている。理科プログラムは小学校、中学校の理科学習指導要領を参考に、「水溶液の性質」「素材(プラスチック)の性質」に関わる内容となっている。それぞれ、マトリックス表という支援ツールを用いて、2つ以上の対象物を比較・特定する活動を設定した。社会科、理科の内容を成人期知的障害者30名程度に試行的に適用したところ、知的発達段階で前操作期(2歳~6,7歳)にあたる知的障害者も、マトリックス表を活用することで、「社会科」では食材を、「理科」ではプラスチックの種類を特定することが可能であった。よって、知的障害者の問題解決能力の形成に関わり、対象物の特徴を視覚化するマトリックス表は有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
問題解決能力の形成に向けた学習プログラム(社会科・理科)を作成し、成人期知的障害者30名程度に試行的に適用し、支援方法を提案することにつながった。令和元年度は、知的障害特別支援学校に在籍する知的障害児に適用していく予定である。一方で研究1で取組む予定だった知的障害特別支援学校への教育課程に関する調査研究は、全国の知的障害特別支援学校の学校リストを作成し、特別支援学校教員3名とともに教科・領域、各教科等を合わせた指導に関する調査項目を作成したものの、カリキュラムマネジメント等の調査項目がまだ未完成であり、平成30年度の送付・回収には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、全国の知的障害部門を有する特別支援学校743校(うち小学部570校、中学部563校、高等部668校)に対して、知的障害特別支援学校における教育課程調査を送付し、教育課程の実態を明らかにしていく。平成30年度は特別支援学校教員3名に対して予備調査をしたところ、社会科、理科、家庭科について、特別支援学校で取組まれていない様子が明らかになったため、教科別の指導の中でも社会科、理科、家庭科について、詳細に調査を行う。 また、調査結果と、平成30年度に成人期知的障害者に対して試行的に実施した、社会科、理科からなる問題解決プログラムを、知的障害特別支援学校中学部・高等部に在籍する知的障害児に対しても実施していき、知的障害児に対する問題解決能力の形成に向けた学習支援システムの構築を行っていく。
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Research Products
(10 results)