2018 Fiscal Year Annual Research Report
科学的探究力を育成するカリキュラムと評価方法に関する研究
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18H05766
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
大貫 守 愛知県立大学, 教育福祉学部, 講師 (00823808)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | ルーブリック / 科学的探究 / パフォーマンス評価 / ポートフォリオ評価 / 教育方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、アメリカにおいて科学的探究を育成するためのカリキュラムについて調査するために1960年代以前の科学的探究のカリキュラムや指導を巡る動向について研究を行った。具体的な研究としては、19世紀後半からアメリカで取り入れられてきた、実験室の方法(laboratory)で理念とされてきた科学的思考力の育成というビジョンと具体的な方策とが、どのようにアメリカの科学教育において批判的に継承されてきたのかということについて、デューイやシュワブの探究論を概観する中で分析した。この中で、両者が科学的な思考力や科学の規範や本質に関わる部分の育成を企図してきた反面、両者の間には生活と科学を巡る対立点があることが明らかになった。 加えて、シュワブとは異なる科学的探究の指導やカリキュラムの在り方を模索するために、ロバート・カープラス(Karplus, R.)の科学教育カリキュラムの分析を行った。その結果として、科学的探究力を育成する上では、領域固有の知識やスキルだけでなく、科学者が一般的に用いるような相互作用などの見方や考え方を教授することで科学的探究に迫っていくアプローチがあることが明らかになった。 最後に、日本における科学的探究の指導やカリキュラム、更には評価方法の分析や開発の一環として、近畿圏のスーパーサイエンスハイスクールの中核校で組織される探究型学力高大接続研究会において研究開発に携わった。その結果として、高等学校において育まれる科学的探究力を評価するための標準ルーブリックの試案をまとめ、次年度に向けて検証の段階に入っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、アメリカにおいて科学的探究を育成するためのカリキュラムについて調査するために1960年代以前の科学的探究のカリキュラムや指導を巡る動向について研究を行った。具体的な研究としては、19世紀後半からアメリカで取り入れられてきた、実験室の方法(laboratory)で理念とされてきた科学的思考力の育成というビジョンと具体的な方策とが、どのようにアメリカの科学教育において批判的に継承されてきたのかということについて、デューイやシュワブの探究論を概観する中で分析した。 加えて、シュワブとは異なる科学的探究の指導やカリキュラムの在り方を模索するために、ロバート・カープラス(Karplus, R.)の科学教育カリキュラムの分析を行った。その結果として、科学的探究力を育成する上では、領域固有の知識やスキルだけでなく、科学者が一般的に用いるような相互作用などの見方や考え方を教授することで科学的探究に迫っていくアプローチがあることが明らかになった。 しかしながら、これらを踏まえてアメリカにおける科学的探究の指導やカリキュラムを巡る動向を歴史的に分析し、まとめあげるという点には課題が残されている。 最後に、日本における科学的探究の指導やカリキュラム、更には評価方法の分析や開発の一環として、近畿圏のスーパーサイエンスハイスクールの中核校で組織される探究型学力高大接続研究会において研究開発に携わった。その結果として、高等学校において育まれる科学的探究力を評価するための標準ルーブリックの試案をまとめ、次年度に向けて検証の段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度に向けては、アメリカにおける科学的探究の指導やカリキュラムを概観する中で明らかになってきた教育目標について、教育目標の達成に向けて必要なカリキュラムのスコープとシーケンスの在り方を明らかにすることが1つの課題である。この点については、これまでの研究成果を学位論文としてまとめ上げることが1つの推進の方策となるだろう。 次に、評価方法について、OECDの実施している国際学力調査であるPISA(生徒の学習到達度調査)やアメリカ国内で行われている大規模な学力調査であるNAEP(全米学力調査)の枠組みについて、特に科学的探究力をどのように評価しているのかという点についての分析が課題として残されていた。この点について、2015年のPISA調査の科学的リテラシーの調査の枠組みの作成に携わったジョナサン・オズボーン(Osborne, J.)にインタビュー調査を行うと共に、文献研究を通してその枠組の内実について明らかにする。これらを通して、科学的探究力を育む指導やカリキュラム、評価の方法についてその全体像を詳らかにする。
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Research Products
(4 results)