2018 Fiscal Year Annual Research Report
戦後教育制度整備過程における「地域文化」の位置づけに関する研究
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18H05769
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
杉浦 ちなみ 石巻専修大学, 人間学部, 助教 (60827377)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 地域文化 / 社会教育 / 生涯学習 / 学校教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二次世界大戦後の国および自治体の教育制度整備過程において、「地域文化」 がどのように扱われ、教育プログラムとして組織化されてきたかを、制度史研究およびケーススタディの方法で明らかにすることを目的とするものである。今年度は以下に取り組んだ。 第一に、学校教育と社会教育双方の教育制度整備過程における「地域文化」の位置づけに関する史料研究を行った。学校教育については、各期の学習指導要領の検討を中心に進めた。社会教育については、1970 年代以降に注目し、国・自治体双方において、従来の団体活動支援から施設整備に政策の重点が映っていった過程を、以下のケーススタディも交えながら検証した。 第二に、各自治体で地域文化をめぐる学習が組織化されていった過程のケーススタディを進めてきた。鹿児島県と宮城県を主な対象に据え、現地訪問、史料調査(図書館や公文書館等)を行ったほか、社会教育行政内部における学習の組織化に関してヒアリング調査(当時の教育実践に関わった行政職員等)も進めてきた。 上記の調査を通じて、(1)各期の学習指導要領の改訂が重要な転換点となってきたこと、(2)ただし、それをどう受け止めたかは自治体ごとに多様であったこと、(3)社会教育については、学校教育とは異なる独自の展開をみせてきたことなどが明らかになってきた。以上の点について、学会報告等で発表を行ってきた。また、当時の資料が各自治体で体系的に残されておらず、実証的な調査には困難もあることも課題として浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の調査計画において想定していた各時代の教科書の検討、および鹿児島県・宮城県以外の対象地域の調査は、十分に行うことができなかった。 一方で、これまで、教育課程研究の読み込み、鹿児島県と宮城県の訪問調査および資料調査が充実しており、そのまとめに注力してきた。以上のことから、全体としては概ね順調であり、当初の計画に即して研究を進めてきているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、学校教育と社会教育の両面からの制度史研究、各地のケーススタディを進めていく。今年度は社会教育制度の重点調査を予定しているが、前年度に調査できなかった各時代の教科書の検討といった学校教育関係の調査も並行して進めていく。 また、鹿児島県及び宮城県の調査が充実していることから、両県に絞りながら調査を進めていく。
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Research Products
(4 results)