2019 Fiscal Year Annual Research Report
準要保護児童・生徒就学援助費にみる財政移転の地域間格差に関する研究
Project/Area Number |
19K20965
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Toho Gakuen School of Music |
Principal Investigator |
江口 和美 桐朋学園大学, 音楽学部, 講師 (50820453)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 一般財源化 / 就学援助費 / 財政移転 / 地方分権 / 地域間格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の研究では、国の補助が一般財源化されると、自治体の財政力の多寡により施策実施の地域間格差が拡大すると指摘されてきた。しかし、自らのこれまでの研究成果から、一般財源化より財政移転割合の差が地域間格差を拡大させる要因であるとも捉えられるため、市町村単位で調査し、財政移転の割合を試算し、現状を分析することが本研究の目的であった。 そもそも就学援助制度実施の主体は市町村であるにもかかわらず各種の調査や統計は都道府県単位での公表となっているため、市町村の状況が困難である。そのため特別区を除く1,718市町村に対し、政府統計等の一部データ提供と実施状況に関する郵送調査を計画した。 2018年度は、先行研究等の文献収集、文献調査に重点的に取り組んだ。また、次年度実施の郵送調査をより有意なものとすべく、2県54市町村を対象に郵送調査を実施、加えて、3市を対象に教育委員会の予算編成過程に関する半構造化面接調査を実施した。 2019年度は、7月から8月に郵送調査を実施した。調査回答は1,718市町村中499市町村から得て、回答率は29.0%であった。回答を分析した結果、財政力指数の多寡が制度実施状況に及ぼす影響は確認できなかった。同一の認定基準を用いても対象児童生徒数の割合は自治体毎に差がみられるのに、現行は交付税算定の折に支給者数は勘案されていない。そのため支給対象の児童生徒数の多少により支給対象一人当たりの交付税算定額を概算すると約10倍の差が確認された。同一の認定基準を採用している自治体を比較すると、支給対象の多い自治体では、支給額や支給項目が抑えられている傾向がみられた。 ただし、経済的に困難を抱える児童生徒の就学支援として機能し得る給食費無料や医療費無料等も子育て支援、定住促進等の他政策として実施する自治体もある。そのため、本研究は、あくまで、就学援助制度を見た場合である。
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