2019 Fiscal Year Research-status Report
英語学習者の読解における潜在的因果性の理解メカニズム
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19K20966
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
細田 雅也 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00825490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 英語教育 / 心理言語学 / 潜在的因果性 / 文処理 / 代名詞解析 / 因果関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主要な実績は以下の2点である。(a) 潜在的因果性 (Implicit Causality: IC) が英語学習者の代名詞解釈に与える影響を報告した論文を全国誌に採択させた。(b) この研究結果に基づき,学習者がICを用いて後続情報をどの程度予測しているのかに関する実験を行った。 1点目に係る実験では,IC動詞を含む英文 (e.g., Ken respected Bob because he...) および日本語文 (e.g., ケンはボブを尊敬していた。なぜならば...) を協力者に複数提示し,その続きを自由に作成してもらった。代名詞が指示する対象を,ICバイアスの方向 (i.e., ICが前の節の主語と目的語のいずれに原因を生起させるか) と,言語 (英語,日本語) を要因とし,統計的に分析した。結果,(a) 英語の代名詞解釈時でも学習者は概ねICに敏感であること,(b) ただし,日本語の時と比べるとICへの敏感さは限定的であること,(c) ICが主語にバイアスを生じさせるとき,英語での敏感さが下がることを特定した。この成果に基づき英語論文を執筆し,全国英語教育学会によるジャーナルARELE (Annual Review of English Language Education in Japan) に採択を得た。 後者について,上述の実験では実験材料に常に代名詞が含まれていたため,協力者に完成してもらった文の内容が,前の節の人物に関するものに限定されていたという問題点があった。この点を克服するために,代名詞を含まない材料による実験を行った。その結果は現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験結果に基づく学術論文を全国誌に採択させることにより,本研究の成果の公表することができた。また,前年度の実験を発展させる実験を実施した。以上のことから,おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
実施した実験の分析を行い,全国学会,もしくは国際学会で発表する。さらに,研究成果を論文にまとめ,全国誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大のため,予定していた国際学会への参加,および,実験実施が行えなかったため。2020年度に,感染拡大が収束すれば,実験を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)