2019 Fiscal Year Research-status Report
20世紀初頭のアメリカのハイスクールにおける「生物学」の歴史的変遷に関する研究
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19K20970
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
日高 翼 帝塚山大学, 教育学部, 講師 (40821525)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アメリカ / ハイスクール / 歴史的変遷 / 生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,20世紀初頭のアメリカ合衆国(以後アメリカと記す)のハイスクールにおける教科としての「生物学」の変遷プロセスを明らかにし,その変化のファクターを当時の教育状況や学術的発達等,様々な背景に基づき解釈することを目的としている。 本研究課題について,具体的に以下の手順で研究を進めてきた。まず,20世紀初頭のアメリカのハイスクールにおける「生物学」に関する設置率・履修率等に関する正確な情報を集めるため,19世紀から現代に至るまでの関連する各種報告書や研究論文・書籍等を広く収集し,その中からデータを徹底的に洗い出し,当時の「生物学」のハイスクールへの設置状況を精査した。次に,当時のハイスクールで生徒や教師が実際に使用していた「生物学」の教科書や実習書を可能な限り多く入手し,入手できた教科書の中から,各時代において人気の高かったものや典型的なものを選び出し,その構成や学習内容等を,特に先行研究で議論が不十分であったヒトの身体の扱いに焦点を当てて分析を行い,それらの特質を明らかにした。この際,19世紀末の前駆的教科の状況の再検討および19世紀の「生物学」との関連性等の観点からも,結果の妥当性を検証した。 2019年度は,以下の手順で研究を進めてきた。まず,前年度の研究成果の一部を学会発表及び論文として公開した。次に,これまでの研究で得られた結果について総合的に検討を行い,1920年代までの「生物学」の変遷プロセスが明らかになった。このプロセスにおいて,従来の通説にはなかった新たな知見がいくつも見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度,予期しえなかった新たな史料の発見により遅れが生じていたことに加え,今年度は新型コロナウイルス感染拡大に伴い,国内外からの文献入手にかなりの時間を要してしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にもとづき,これまで蓄積してきたデータを検討し,「生物学」に変化を引き起こしたファクターについて,様々な方面から解釈を行うとともに,関連する研究領域の研究者から意見を伺いながら,新しい視点も取り入れ,研究の成果を学会発表や論文等の形で公表を行う。
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Causes of Carryover |
想定していた以上の新たな史料が発見されたために変遷プロセスの再検討が必要となり,追加の調査が必要となったため,全体として研究がやや遅れている。次年度は,主に不足している文献の収集,論文の出版や学会発表等に用いる。
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