2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K20983
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
福嶋 祐貴 盛岡大学, 文学部, 助教 (10826100)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育評価 / 協同学習 / 協働学習 / 協調学習 / 認知的徒弟制 / パフォーマンス評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次の2点を課題としている。①文献調査と海外研究者へのインタビュー調査によって、協働的な学習を評価するという営みの原理・構造と、満たすべき規準(妥当性、信頼性、公平性)のあり方を解明すること。②文献調査で得た知見を、実践において検証することで、効果的に協働的な学習を評価するための評価基準・方法の方向性を指し示すこと。2019年度は①のうち特に海外での現地調査と、②に取り組んだ。前年度に引き続いて認知的徒弟制を取り上げ、その議論が活発に行われていた1980年代終盤から1990年代初頭にかけての研究資料を、カリフォルニア州のコンピューター歴史博物館研究アーカイブを中心に利用することで収集した。加えて、文献調査として、協同学習(cooperative learning)が米国の進歩主義教育運動に起源を持つことを示す史料にあたることによって、協同学習が本質的に追求している協働性の内実に迫り、協調学習との差異を浮き彫りにした。また②としては、2018年度から2019年度にかけて①で得られた成果を、岩手県内の協力校との研究協議や、所属機関における研究代表者自身の担当科目での実践を通じて検証した。以上の取り組みによって、協働的な学習の評価に関して次の四点の示唆を得ることができた。第一に、その教育実践における協働が何を意味するものなのか、何のための協働なのかを明らかにしておく必要がある。第二に、協働性は状況依存的に発揮されるため、一般的で汎用的な能力として捉えるべきではない。第三に、協働性は教師の指導の成果であるとは限らず、教育評価という理念のもとでは、評価の対象とすることは適切でない。第四に、協働性は、うまく協働しなければ生み出せないような成果を求めるようなパフォーマンス課題の中で、思考力・判断力・表現力などと一体的に捉えることが妥当である。
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