2018 Fiscal Year Annual Research Report
遊びの場面における聴覚障害児と母親の視線共有および母親の働きかけの特徴
Project/Area Number |
18H05800
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima Women's Junior College |
Principal Investigator |
本田 和也 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 准教授 (50828027)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 聴覚障害児 / 共同注意 / 視線共有 / 母子 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に聴覚障害児は,「心の理論」の獲得が健聴児よりも遅れることが知られている。また,「心の理論」獲得の基盤の一つに共同注意があるが,聴覚障害児がどのように共同注意を形成してるのかは,ほとんど研究されてはいない。それに伴い,どのような母親の働きかけがその形成を促しているかについてもほとんど明らかにはされていない。 昨年度の研究では,1,2歳の聴覚障害児と母親の遊びの場面におけるやりとりをビデオ録画し,聴覚障害児の共同注意形成に重要となる母子の視線共有の時間や回数の検討を行った。その結果,母親は約7割以上の割合で発話に伴い手話等を使用していた。しかし,母親が聴覚障害児と視線共有を図るには,発話に伴う手話等をどのように使用するのかの方略が重要であることが推測された(本田,2018)。視線のやりとりや視線共有の増加は,情動の共有の前提ともなるため,今後,働きかけの方略を具体的に明らかにしてくことが重要であることが示された。 本年度の研究では,研究対象者を1,2歳の前段階の0歳の聴覚障害児と母親とし,この時期の母子の視線共有の時間や回数にはどのような傾向があるのかを検討していく。この時期の聴覚障害児は母親の使用する手話等の理解が伴わなかったり,自分から手話等を使用したりすることはほとんどないことが予想される。その中で,遊びを通して母子はどのように視線共有を図り,聴覚障害児は共同注意を形成していくのだろうか。本研究を通して,その一端を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1,2歳の聴覚障害児と母親の遊びの場面におけるやりとりの研究においては,母子のやりとり場面のビデオ分析を行い,その研究結果を鹿児島女子短期大学紀要第55号(2018)に掲載した。 現在,0歳児の聴覚障害児と母親の遊びの場面のビデオ録画協力を,鹿児島県立鹿児島聾学校乳幼児教育相談に通っている母子にお願いし,数事例ではあるが,研究協力をしていただいた。事例数を確保するために,今後も継続してお願いしていく予定である。現在,協力をいただいた数字例の母子のビデオ分析を進め,この時期の母子はどのように視線共有を図り,聴覚障害児は共同注意を形成していくのかを検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
0歳児の聴覚障害児と母親の遊びの場面におけるやりとりのビデオ分析を行い,この時期の母子はどのように視線共有を図り,聴覚障害児は共同注意を形成していくのか,その一端を明らかにしていく。一定数の事例が集まった段階で,その研究の成果を「ろう教育科学会」に投稿する予定である。
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