2019 Fiscal Year Annual Research Report
遊びの場面における聴覚障害児と母親の視線共有および母親の働きかけの特徴
Project/Area Number |
19K20992
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kagoshima Women's Junior College |
Principal Investigator |
本田 和也 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 准教授 (50828027)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 視線共有 / 聴覚障害 / 母子 / 働きかけ / 0歳児 |
Outline of Annual Research Achievements |
本田(2018)は、1、2歳児の聴覚障害児と聴覚障害のない母親(健聴群)と聴覚障害のある母親(聴障群)の遊びの場面における視線共有に焦点を当て、両群に違いはあるのか、あるとすればどのような違いがあり、母親の働きかけの特徴は何なのかを検討した。その結果、両群の視線共有や時間には差はなかったが、両群の母親の働きかけには質的な違いが示された。聴障群では、出生後からの母親の働きかけの積み重ねにより、やりとりが成立し始めていることが推測された。それでは、健聴群の出生後からの母親の働きかけはどのようなものであり、どう変化していくのだろうか。 本研究では、母子の視線共有が前提となるおもちゃを介した遊びにおいて、共同注視や共同注意が形成される生後9カ月から12カ月の時期に、聴覚障害児ごとで母親を注視する行動に差は生じているのか、子どもとの視線共有を図るために、母親はどのような方略を通して子どもの注意を引きつけてかかわっているのかを検討した。その結果、すでに生後9カ月以前の聴覚障害児において、母親を注視する行動には差があることが推測された。また、母子の視線共有には、それまでの子どもにとっては受身的ともいえる母親の子どもを引きつける方略が重要であることが推測された。 さらに、今後は、二項関係の段階にある生後9カ月未満の聴覚障害児とその母親を対象とした研究をすすめ、どの時期からすでに差が生じているのか、また、その時期に母親はどのような働きかけを行うことで、子どもを引きつけているのかを検討していく必要がある。 また、本研究は対象の母子は6組であり、探索的な仮説生成段階の研究である。さらに対象の母子を増やすことで研究の妥当性は高まるといえる。
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