2018 Fiscal Year Annual Research Report
慈しみに焦点を当てたWebベースの認知行動療法の開発
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18H05803
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菅原 大地 筑波大学, 人間系, 特任助教 (10826720)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 慈愛瞑想 / web介入 / うつ病 / ポジティブ感情 / セルフコンパッション / Process-Based CBT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,慈悲に焦点を当てた認知行動療法を体験できるウェブサイトを作成し,その介入効果を検討することが目的である。 2018年度は,介入を実施するためのウェブサイト作成を行った。具体的な例として,介入プロトコルを作成し,それをもとに音声テープを複数作成した。ウェブサイトには工夫を凝らし,実験参加者のみが参加できるように各参加者のマイページを設け,パスワードを発行することで,各参加者の利用状況を測定できるようにした。実験中のアンケートもサイト上で行えるようにし,介入後に実験室に来てもらう様な負担を減らすとともに,極力実験者と会わない状況でアンケートに答えられるようにした。介入中の疑問に答えられるように,これまでの臨床経験から参加者が躓きやすい点については説明するためのページを作り,かつワークへの取り組み方についての説明動画を作成した。 上記のウェブサイトを用いて,大学生を対象に3週間の介入を行った。主要な指標はセルフコンパションとし,副次的な指標としてうつ症状,マインドフルネス,ケア行動を測定した。近年,認知行動療法の効果検証の中では,前後比較だけだなく,介入中のプロセスに焦点をあてた検討がなされているために,本研究では1週間ごとのセルフコンパションの変動を測定した。介入の最後には,ウェブサイトの利用しやすさを評定してもらった。 3週間の介入によって,セルフコンパッション,特にその構成要素が変動することがわかり,ウェブ介入の効果を検証するとともに,介入期間・内容による変動を測定することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目標は,①介入用のウェブサイトを作成することと,②大学生を対象に試験的な介入を行うことであった。 1つ目の目標については,当初予定したウェブサイトより,多くの機能を設けることができた。具体的には,パスワードやマイページを設定できたこと,実験参加者が現在何回介入用の動画を再生できているか確認できるようにしたこと,アンケートに回答するシステムや説明用の動画を再生できるように工夫した。また,介入用の音声を録音することで,今後も利用できる介入用の教材を作成することができた。 次に,2つ目の目標については,大学生を対象に短期間ではあるが,介入を実施できた。すでに,3週間の介入を終えており,アウトカムの測定も終えている。今年度の研究内容は,9th World Congress of Behavioural and Cognitive Therapiesで発表予定であり,すでに採択されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究目標は,以下の通りである。 1つ目の目標は,軽度抑うつ症状がみられる一般成人に介入を行い,ウェブサイトの介入効果を検討することである。2018年度の研究では,1週間ごとに介入効果を検討していたが,2019年度の研究では,ウェブサイト上の動画を再生するごとに,状態的に変動する変数を測定して,介入効果を検討する。 2つ目の目標は,持続性うつ病患者に対して介入効果を検討することである。研究の参加者については,精神科や心療内科クリニックの理事長に相談をしており,募集を協力してもらえる状況である。 全体的な目標は上記の通りであるが,アウトカムの測定に関しては,新規の尺度を作成すること,脳波といった神経科学的な観点から測定することを検討している。
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