2018 Fiscal Year Annual Research Report
注意制御機構の認知神経科学的研究:課題非関連情報の能動的な抑制
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18H05813
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川島 朋也 神戸大学, 国際文化学研究科, 協力研究員 (70825851)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 視覚的注意 / 抑制 / 事象関連電位 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,申請者らが確立した行動実験の手法(Kawashima & Matsumoto, 2018 Acta Psychologica)を拡張した脳波計測実験を行い,課題非関連な情報の抑制メカニズムを検討した。 ヒトがある行動目的を達成するためには,目下の課題とは関連のない情報の処理を抑制することが必要である。このときにはたらく選択的注意は,ヒトが行動に関連する情報を取捨選択するうえで重要な認知機能である。このヒトの注意制御機構を検証することは,なぜヒトがときに重大なエラーを起こすのかを理解する一助となる。本研究では,ヒトが視覚環境の特定の情報に意図的に注意を向けるときと,意図的に注意をそらすときにはたらく認知制御メカニズムを解明することを目的とする。 この研究目的を達成するために,本年度は脳波測定と行動実験を組み合わせ,課題関連情報への注意の促進と課題非関連情報への注意の抑制のメカニズムを検討した。具体的には,特定の標的刺激を複数の妨害刺激から検出する視覚探索課題を行ってもらう前に,標的刺激の色(注目手がかり)または妨害刺激の色(無視手がかり)を教示するパラダイムを採用した。このとき,手がかり条件のあいだで実験参加者が観察する課題画面が同様になるように操作を与えた。無視すべき刺激に誘発される電位に着目した脳波解析の結果,注目手がかり条件に比べ,無視手がかり条件ではより大きなPd成分とより小さなN2pc成分が観察された。これは,事前に無視すべき特徴を知っていると,無視すべき刺激が能動的に抑制されうることを示している。この結果は,近年の無視手がかりがどのように使用されているのかという議論に基礎的な資料を提供するものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初の計画通り脳波計測実験を行うことができ,申請者らの行動実験から議論を展開できる結果を得ることができた。現在,この成果を報告する準備をしている。そのため「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の脳波計測実験により,課題非関連情報の能動的な抑制が脳の視覚情報処理の初期段階からはたらくことを示唆する知見を得た。今年度は,この成果の報告を行うとともに,この知見をもとに実験パラダイムの吟味を行い,さらなる心理学実験や脳機能計測によって視覚的注意の制御機構の解明を進展させる。
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