2018 Fiscal Year Annual Research Report
社交不安症に対する注意に特化した治療プログラムの開発:自己注目の本質的役割の解明
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18H05817
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
富田 望 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (30823364)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 社交不安症 / 自己注目 / 注意制御機能 / 治療プログラム / メタ認知療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に,社交不安症患者3名に対してメタ認知療法に基づく注意に焦点化した心理療法を実施し,社交不安症状,自己注目,注意バイアスの経時的な変化を測定することによって介入効果および奏功プロセスについて検討を行った。具体的には,心療内科の面接室にて,自己注目の変容に焦点をあてたビデオフィードバック,注意訓練法(Attention Training Technique: ATT),状況への再注意法を組み込んだSocial mishap exposure,自己注目・注意バイアスに関するメタ認知的信念への介入を実施した。介入の結果,社交不安症状の低下に加えて,自己注目の構成要素である観察者視点が低下し,ディタッチト・マインドフルネス視点(自己の状態と他者を含む外部状況の両者を俯瞰できる適応的な状態)が増加するという変化が捉えられた。一方で,メタ認知的信念の変化については十分な改善が示されず,プログラムを作る上での今後の課題が明らかにされた。 第2に,自己注目に対する介入法として提案されているATTについて,社交不安症特有の自己注目に合わせたATTのプロトコルを開発し,その効果を検証した。社交不安傾向を有する大学生30名を自己注目ATT群と通常ATT群に振り分け,いずれの群においても2週間の介入を行った。実験参加者には,介入の前後において,社交不安に関する質問紙への回答とスピーチ課題の実施を求め,日常生活における社交不安の変化とスピーチ中の自己注目の変化の両者を測定した。 介入研究の結果,自己注目ATT群では, 社交状況への恐怖感を測定する質問紙の得点や,スピーチに関する反芻を測定する質問紙の得点が有意に減少した。したがって,社会的場面に近い刺激をATTに取り入れることによって,従来のATTよりも社交状況への恐怖感を低減できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学生を対象とした基礎研究に加えて,社交不安症患者に対する介入を行ったことで,注意に特化した治療プログラムの開発にむけて,プログラムに組み込むべき要件と課題を明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,社交不安症患者に対する個別カウンセリングを継続的に実施し,治療プログラムおよび使用するマニュアルやワークブックを確定させていく。また,自己注目や注意バイアスの発生を予測する変数を基礎研究によって明らかにし,その成果を基に自己注目や注意バイアスの低減を意図したエクスポージャーの具体的な手続きを検討していく。さらに,研究の遂行に関わるこれまでの研究成果の論文化を行う。
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Research Products
(7 results)