2021 Fiscal Year Annual Research Report
社交不安症に対する注意に特化した治療プログラムの開発:自己注目の本質的役割の解明
Project/Area Number |
19K21009
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
富田 望 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (30823364)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 自己注目 / 生態学的経時的評価法 / 視線知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、自己注目を誘発する環境側の刺激を明らかにするために、生態学的経時的評価法 (Ecological Momentary Assessment: EMA; Shiffman, Stone, & Hufford, 2008) を用いて、日常生活の社交場面で知覚される様々な刺激と自己注目との関連性を検討した。Liebowitz Social Anxiety Scale 日本語版 (LSAS-J; 朝倉他, 2002) が30点以上の大学生と大学院生22名を対象として、WebアンケートによるEMA調査を10日間実施した。具体的には、アンケートのURLが記載されたEメールを1日3回参加者に送信し、回答時から過去5時間以内に経験した社交場面、社交場面で知覚した9個の刺激、自己注目の程度について回答を求めた。調査の結果、分析対象となる321回分の回答が得られた。各刺激を独立変数、自己注目を従属変数としたマルチレベル重回帰分析等を行った結果、「他者からの視線」、「他者からの評価」、「権威のある人」が知覚されると身体感覚への自己注目が生じやすく、上記に加えて「知り合いの人」が知覚されると観察者視点による自己注目が生じやすいことが示された。特に視線については、視線への恐怖度に関わらず、2種類の自己注目を高めることが示された。 さらに、これまでの研究成果である、自由にスピーチをするような状況で自己注目が生じた際に右の前頭極が賦活されることを示した研究や、自己注目に特化した注意訓練法を開発し社交不安症状への効果を示した研究について、論文投稿を行い学術誌に掲載された。
|
Research Products
(11 results)