2019 Fiscal Year Annual Research Report
注意分割気晴らしによる注意視野の拡張および反すう緩和効果の検討
Project/Area Number |
19K21010
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石川 遥至 早稲田大学, 文学学術院, 助教 (60822955)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気晴らし / 注意の分割 / 反すう |
Outline of Annual Research Achievements |
ネガティブな持続的思考(反すう)は不快な対象への過剰な注意集中に起因すると考えられ,一般的には気晴らしによる対処が有効とされる。ただし,気晴らしによる思考の回避や抑制が長期的には不適応的に機能することも指摘される。そこで本研究は,不快な思考と気晴らし課題を同時に行う注意分割気晴らしの効果を検討した。 最終年度に実施した実験1では,不快な思考の抑制を意図した集中的気晴らしと注意分割気晴らしによる効果の比較を行った。この結果,集中的気晴らしは注意分割気晴らしと比べて即時的な気分の改善に高い有効性を示した。しかし,一週間後に反すうが再喚起された際には,集中的気晴らしを行った高反すう傾向者は気晴らしを行わなかった場合と比べて高いネガティブな気分を示した。また一週間後の時点で,注意分割気晴らし群は集中的気晴らし群よりも不快な思考対象の適応的な捉え直しが行われていることが示された。 最終年度の実験2では,注意分割気晴らしによる反すうの緩和メカニズムとして注意視野の拡大が作用している可能性を検討した。この結果,高反すう傾向者では統制群に比べて注意分割分割気晴らし群の注意視野が広かった。また,集中的気晴らし群は反すうの再喚起時に注意視野が狭まる傾向がみられたのに対し,注意分割気晴らし群では広い注意視野が維持された。ただし,注意分割気晴らしによる注意視野の拡大が反すうの緩和効果をもたらすことは確認されなかった。 本研究からは,注意分割気晴らしが従来の気晴らしと比べて長期的な反すうの緩和に有効であり,この方略が注意視野を拡大することで不快な対象への過剰な注意集中を予防しうるものである可能性が示唆された。その有効性,効果機序については,さらなる研究により検討していく必要がある。
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Research Products
(6 results)