2018 Fiscal Year Annual Research Report
神経性過食症患者の自尊感情を向上する個人療法の開発と評価
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18H05822
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
竹田 剛 神戸学院大学, 心理学部, 講師 (50823746)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 神経性過食症 / 摂食障害 / 自尊感情 / 自己概念 / プロセス研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経性過食症患者の自尊感情を向上する個人療法の開発と評価を行うため,まず患者の被受容感を高めるセラピスト-患者間の関わりおよび患者間の相互作用を具体化する研究を行った【研究A】。これまでに申請者が実施した自尊感情を向上する集団療法内の逐語について,修正版Grounded Theory Approach(木下,2007)を用いて分析を行った。その結果,ファシリテーターの発言として10カテゴリが,参加者の発言として7カテゴリが抽出された。続いて,それらがどのような相互作用の中で発言されるかに関するプロセス分析を行い,いくつかのプロセスが明らかとなった:例えば,①ファシリテーターが“参加者へ関心を示す”ことによって,②参加者が“自分の体験を開示する”が,③このときファシリテーターによって“メンバーの発言を受け留める”関わりや,ファシリテーターも自己開示を積極的に行うなど“メンバーをフラットな構造でつなぐ”関わりがされることで,④参加者も他の“メンバーに対する関心を表明する”に至り,参加者の“自身の体験を開示する”ことがより促進されると示された。他の患者に対する警戒心が強いとされる神経性過食症患者にとって,ファシリテーターもメンバーの一員という立場で交流を行うことは,安心して自己開示を行える土壌として機能することが考察された。 次に研究Aの知見を活かして,自尊感情を向上する個人療法の開発を行った【研究B】。これまでに申請者が作成した集団療法を下地とし,被受容感を高めるための相互作用を盛り込んで内容を再編成した。具体的にはセラピストが自己開示を行う場面を設定し,他の患者の発言例などを盛り込んで,個人療法でありながら参加者の自己開示が促進される機会を設けた。この個人療法は,集団療法で効果が示された治療要素も保持しつつ,各患者のニーズに柔軟に対応できる枠組みとして意義をもつと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の遂行状況としては,ほぼ計画通りに進んでいる。研究発表の進捗について,研究Aに関する英語論文の作成および校正もほぼ終了しており,投稿の手続きを進めている。なお本研究A・Bに関わる研究発表を竹田・佐々木(2019),小野・中川・竹田(2019)にて行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,開発された個人療法を実施して効果検証を行う。共同で個人療法を実施するセラピストとの打ち合わせも進んでおり,フィールドでの実施許可も既に得ている。今後は協力者募集を行うことになるが,これをいち早く行うことで研究のさらなる推進が図れるものと考えられる。この手続きは,申請者が過去に同様の効果研究を行った竹田・佐々木(2016)やTakeda & Sasaki (2017)が参考になる。
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