2019 Fiscal Year Research-status Report
神経性過食症患者の自尊感情を向上する個人療法の開発と評価
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19K21014
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
竹田 剛 神戸学院大学, 心理学部, 講師 (50823746)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経性過食症 / 摂食障害 / 自尊感情 / 自己概念 / 効果研究 / プロセス研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経性過食症患者の自尊感情を向上する個人療法の開発と評価を行うため,昨年度開発された個人療法を実施し,その評価を行う効果研究を行った【研究C】。このとき面接担当者の性差が効果に与える影響についても検討するため,面接担当者を男性・女性1名ずつ用意して実施した。研究協力者(個人療法への参加者)として,総合病院の心療内科に外来通院中の神経性過食症等をもつ女性患者にリクルートを行った。効果指標として自尊感情尺度(Rosenberg, 1965),神経性過食症関連パーソナリティ質問票(竹田,2016),摂食障害質問票(Fairburn, 2008)を用いた。併せてフォローアップ時にインタビュー調査を行い,質的な変容過程についても聴取を行った。下記に挙げた理由から,協力者の人数は十分な値に達していないものの,量的指標からは概ねポジティブに変容する傾向がみられている。またインタビュー調査からも変容する上での要所が語られており,質的分析上の観点が示唆されている。 これらの実績の一部を,神戸学院大学高大連携授業における「『食べる』ことをみつめる臨床心理学」の講演,および大阪市家庭児童相談員事例研修会における「自尊感情を支える・育む」の講演にて発表し,神経性過食症患者の自尊感情を向上する上で要所と考えられる点について注目を促し,またそれに対する実践例などを示した。また英語論文についても改訂を進めるとともに,その土台となる治療論を論文「『このままでいい自分をめざすグループ』が備える2つの変容のプロセス」にまとめ,個人療法の開発と評価に関わる重要な変容プロセスについて論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画通りに準備を進めている。しかし【研究C】を遂行する上で必要となる研究協力者(神経性過食症等をもつ女性患者)のリクルートについて問題が生じたため計画の実行が遅延している。具体的には,リクルート先である心療内科の部長の逝去に伴い診療体制の変更が生じ,多くの摂食障害患者が安定的に来院する状況が失われた。加えてCOVID-19に関する感染症予防対策として個人療法の実施が困難な状況になり,当初予定した人数にはまだ達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者のリクルートに関しては,同心療内科で診察を続ける別の医師らの協力を得ており,協力依頼を続けている。感染症の問題に関しては,【研究B】で開発された個人療法をオンラインカウンセリング化することによって対処を試みる。ただしこの点については,対面で実施した内容と極力差異を生じさせない形に調整する必要がある。
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Causes of Carryover |
【研究C】を遂行する上で必要となる研究協力者(神経性過食症等をもつ女性患者)のリクルートに問題が生じ,当初の予定よりも使用額が少なくなったために次年度使用額が生じた。令和2年度はこれまでに申請した研究経費計画に基づいて使用する。
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