2018 Fiscal Year Annual Research Report
Landau-Ginzburg模型のmoduliと周期
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18H05829
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
社本 陽太 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (50823647)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 不確定特異型微分方程式 / 頂点作用素代数 / Landau-Ginzburg模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,Landau-Ginzburg模型の指数的周期写像の満たすべき不確定特異型微分方程式に関連して,不確定特異型の頂点作用素代数の定式化に中心的に取り組みました.また,昨年度までの研究内容について,出版までの校正や結果の学会での発表などを行いました. 複素代数多様体上の有理型関数の族を,物理的な文脈でLandau-Ginzburg模型と呼ぶ場合があります.これらの族に付随して,その周期写像を考えることで,パラメータ空間(モジュライ空間と呼ばれることもある)上の微分方程式が得られます.本研究の主な目的は,このようにして得られる微分方程式系の解析にあります. 本年度は,このようなLandau-Ginzburg模型から得られる微分方程式系の例として,主に,合流型KZ方程式に対象の中心を絞って研究しました.そして,この方程式の背景にあるべき不確定特異型頂点作用素代数の定式化に取り組みました.これは,東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の池田氏との共同研究です. この研究で,私たちは物理学における様々な先行研究で計算されてきた不確定特異型の頂点作用素たちの背景にある,代数構造を数学的に厳密に定式化すること,およびそれらの代数が満たしている様々な性質の証明に成功しました.また,頂点作用素代数の最も基本的な例であるHeisenberg頂点作用素代数とVirasoro頂点作用素代数の不確定特異型版の構成を行いました.ここで定式化した不確定特異型頂点作用素代数は,より多くの例をもち,また,不確定特異型のChiral代数を導くことが期待されます.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究を通じて,本質的に新しい代数構造である不確定特異型頂点作用素代数の定式化を得ることができました.この構造は,多くの例をもち,また,様々な分野と関連することが期待される発展の可能性を多く秘めた対象であると期待しています.これは,当初予期していたLandau-Ginzburg模型の周期やモジュライの方向性とは異なりますが,その本質において,Landau-Ginzburg模型の周期の満たす微分方程式の不確定特異性に深く関わる理論であると考えています.
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Strategy for Future Research Activity |
不確定特異型頂点作用素代数と対応すると考えられる,不確定特異型Chiral代数の定式化,およびその不確定特異型頂点作用素代数からの構成を目標とします.可能であれば,不確定特異型Chiral代数上の加群の理論およびそのホモロジー理論であるChiralホモロジーの定式化を目標にしたいと考えています.
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