Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, ランダウ-ギンツブルグ模型の「代数的トーラス同変」版の変形について, その微分差分加群としての構造と, ストークス構造について研究し, その成果として, プレプリントを執筆しました. ここで, 「代数的トーラス同変」と書いたのは, 正確には, ミラー対称性を通じて, ファノ多様体側で考えられている構造で, ランダウ-ギンツブルグ模型側では, 差分方程式が現れることになります. 主な結果は, 微分差分加群の, ランダウ-ギンツブルグ模型の「周期積分」を使って得られる解のクラスが, ストークス構造と呼ばれる, 不確定特異点特有の構造を持つことを証明したことです. 補助的な結果として, ここで定式化したストークス構造が, アーベル圏の構造など, 代数的な観点からも望ましい性質を持つことを示しました. さらに, この研究結果について, 国内のオンライン研究集会で講演を行いました. また, 2018年のカジャルコフ-コンツェヴィッチ-パンテフの論文において導入された, 従順にコンパクト化されたランダウ-ギンツブルグ模型の非可換変形の形式的モジュライ空間の上に, Frobenius構造を構成する研究についても, 具体的な検討を始めました. 構造を構成するための, 基本的な方針が確立できたので, 技術的な細部を補いながら, 論文の執筆につなげていきたいと考えています. また, 古典的な変形空間上の平坦構造との関係や, 収束の議論などについても, 研究を進めていきたいと考えています.
|