2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H05835
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
杉山 真吾 日本大学, 理工学部, 助手 (70821817)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 保型形式 / 保型表現 / 相対跡公式 / 保型L関数 / distinguished表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
E/Fが2次拡大の場合のGL(2)に関する相対跡公式のスペクトルサイドの計算は目途がついた. 幾何サイドの計算はまだ完成しておらず, 引き続き研究に取り組む予定である. また, Eが分裂エタール代数の場合のJacquet-Zagier型跡公式の研究(都築正男氏との共同研究)に予期せぬ進展があった. Luo-Sarnakによる保型形式の3重積の2乗平均の漸近公式と, 先行研究で与えたJacquet-Zagier型跡公式のカスピダル類似を組み合わせることで, GL(2)の偶マースカスプ形式を止める毎に, GL(2)xGL(3)の保型L関数の中心値が非ゼロなGL(3)のコホモロジカル保型表現が無限に存在することを, 定量的に与えることができた. 当初与えていた無限に存在するという事実は, 証明が新しい一方で, 結果自体は新規性がなかったが, その結果を改良し定量的な評価を与えたことは興味深い進展である. 従来のLuo-Sarnakの公式の証明法はWatson,市野の周期積分の公式とPetersson跡公式に依存しているが, 本研究で扱った跡公式は, 無限素点の情報をコントロールするJacquet-Zagier型跡公式を用いており, まったく別のアプローチである. スペクトルサイドに現れる量も, Luo-Sarnakの公式は保型形式の3重積の2次モーメントであるが, 本研究では1次モーメントを扱うことができたので, 上述のとおり定量的な評価を与えるに至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
E/Fが代数体の2次拡大の場合はまだ形になっていないが, 都築氏との共同研究で与えたJacquet-Zagier型跡公式のカスピダル類似に関して, 応用を見つけることができた. 従来の研究では保型形式の3重積の公式に依存した計算しか知られておらず, 3重積の2乗平均のみ考察されていた. しかしJacquet-Zagier型跡公式は1乗平均の公式とみなすことができて, これと従来の2乗平均の公式を組み合わせることで, GL(2)xGL(3)の保型L関数の中心値が非ゼロな保型表現が無限に存在することを, 定量的に与えることができた. 単なる個数の無限性を定量的な評価に改善することができたのは大きな進展であると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
保型Green関数を用いて相対跡公式を導出する予定であったが, GL(2)のJacquet-Zagier型跡公式の一般化で用いた保型核関数を用いたほうが良いと思われるので, この保型核関数を用いる方向にシフトする. 相対跡公式のスペクトルサイドの計算はどちらの関数を採用しても本質的には変化はしないので, 幾何サイドの計算でどのような状況になるのか調査する.
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Research Products
(6 results)