2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19K21033
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小林 拓矢 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50827186)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機伝導体 / 超伝導 / 強相関電子系 / 磁性 / 反強磁性 / ミュオンスピン回転法 / 超高圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度試料合成に成功した有機電荷移動錯体λ-(BEST)2GaCl4は、λ塩のドナー分子置換型統一相図で理解されることが期待される。この可能性を調べるために、まず磁化率の異方性を調べたところ、約22K以下で反強磁性体に典型的な磁化率の異方性が観測された。さらに微視的な証拠を得るために、ポールシェラー研究所(スイス)にてミュオンスピン回転(μSR)実験を行った。22K以下で明瞭なμSR回転シグナルが観測された。この結果はBEST塩がET塩と同様の反強磁性体であることを示している。転移温度を比べると、ET塩の13Kよりも高く、これはλ塩において電子相関をより強くしたときの電子状態が実現していると考えられる。 BEST塩の試料合成に関して重要な点として、試料合成において単一の試料しか得られないことが分かった。ET塩においては試料合成の際に多形が同時に得られるため、λ塩の詳細な物性研究は困難な状況であった。そのためλ塩の反強磁性状態の研究を進める上で、BEST塩は最適な物質である。そこで現在、BEST分子の13C置換体を合成し、13C-NMR測定の準備を進めている。これにより、磁気構造の解明や圧力をパラメータとした相境界の決定が期待できる。 BEST塩の磁性だけでなく伝導性についても、キュービックアンビルセルを用いた超高圧下電気抵抗測定により調べた。昨年度に実施したET塩の電気抵抗測定と同様に、8GPaまでの圧力で金属的な振る舞いは観測されなかった。ドナー分子置換型温度圧力相図における反強磁性相と超伝導相の関係については、今後更なる研究が必要である。
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[Presentation] Spin Structure at the Zero Magnetic Field and Field-Induced Spin Reorientations in Deuterated κ-(ET)2Cu[N(CN)2]Br2019
Author(s)
K. Oinuma, N. Okano, H. Tsunakawa, S. Michimura, T. Kobayashi, H. Taniguchi, K. Satoh, Y. Ishii, Hi. Okamoto, T. Itou
Organizer
International Symposium on Crystalline Organic Metals, Superconductors and Magnets 2019 (ISCOM2019)
Int'l Joint Research
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