2020 Fiscal Year Annual Research Report
二重磁気共鳴法を用いた超低温高周波領域におけるSi:Pのスピンダイナミクス解明
Project/Area Number |
19K21036
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
石川 裕也 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 助教 (80825282)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 二重磁気共鳴 / 電子スピン共鳴 / 核磁気共鳴 / 超低温 / 高周波 / DNP-NMR / meanderline |
Outline of Annual Research Achievements |
固体量子コンピュータデバイス候補である希薄ドープ半導体(Si:P)の実用化に向けた重要な課題は、量子ビットとして扱う31P核のスピンダイナミクスの情報を得ることである。初期化等の演算を行うためには31P核の磁気的な挙動を知る必要があるが、31P核が希薄なため核磁気共鳴(以下NMR)による直接観測例はなくその緩和時間などの詳細は未解明である。31Pの希薄さを克服する手法として、電子スピン共鳴(ESR)による動的核偏極(DNP)効果を用いたNMR測定(以下DNP-NMR)があり、DNPにより31P核スピンの『超偏極』状態を生じさせ、31Pの核磁化を相対的に増幅させることによりNMR信号の直接観測が容易となる。本研究ではDNP-NMRにより31P核のスピンダイナミクスを世界に先駆けて明らかにすることを目的とし、ESR/NMR二重磁気共鳴用共振器の開発を行った。Si:Pがデバイスとして機能する超低温・高周波領域にてAu製薄膜を用いたESR及び平面型コイルを用いた二重磁気共鳴用共振器を開発し感度測定等の評価を実施し、2019-2020年度にはDNP効果を用いた31P-NMRを実施し、130 GHz、220mKにおいて熱平衡状態に比べ約83 %の核偏極させることに成功した。31P核スピンに対し電子-核二重共鳴(ENDOR)を行ない、139MHzにおいて31P核スピンの吸収による核偏極状態の緩和を観測しNMRの周波数を明らかにした。139MHz、220mK近傍にてDNP-NMRでは31P核スピンのエコー信号を世界で初めて直接観測した。2020年度はこれまでに本研究で得られた成果について実験データの妥当性を示すため追実験を実施し、研究代表者が筆頭として2本及び共著1本の査読付き論文として報告を行った。
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