2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18H05857
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小澤 知己 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 客員研究員 (80825993)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 冷却原子系 / 人工次元 / 人工量子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度であり、また、半年間しかなかったため、研究の方向性を具体化していくことが主な目的であった。 まず、冷却原子系に関する新しい人工次元の方法の提案については基本的なアイデアを精密化させた。この人工次元の方法では、一つの次元が連続的に、もう一つの次元が離散的になるというハイブリッドな性格を持つ。冷却原子系での実現方法も含め、基礎的な部分はおおよそ完成したと言って良い。このアイデアを元に、理想化された模型の解析的振る舞いからトポロジカルな性質を見ることができることを確認した。また、簡単なプログラムを書いて相互作用のある系や調和振動子型の閉じ込めポテンシャルがある場合など現実的な状況を念頭に置いた数値計算を始めることもできている。 理論研究と並行して、冷却原子系と関係の深い複数の人工量子系(励起子ポラリトンおよびダイヤモンドNV中心)において実験家との共同研究でトポロジー・幾何学の研究も行った。励起子ポラリトン系では分散が一方向にフラットになるタイプIIIディラック分散を実験的に観測することに成功した。この結果は2次元系のものであるが、高次元のトポロジカルな分散関係を探る基礎となる結果である。ダイヤモンドのNV中心を用いた量子ビットにおいて、ブロッホ球に相当するパラメータ空間での幾何学的性質やトポロジーの観測にも成功した。相互作用する量子ビット系での実験も成功しており、冷却原子系や高次元系への拡張の礎となると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は半年しかないことから、研究の方向性を明確にすることが当初の目標であった。冷却原子系での新しい人工次元の方法の方向性は明確に定まり、現実的なセットアップを念頭に置いた数値シミュレーションへと向かっている。また、実験家との共同研究はうまく完成させることができ、2本論文を投稿することができた。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、今年度得た結果をより深化させることを目的とする。特に、冷却原子系における新しい人工次元の方法を用いて、現実的な状況下でトポロジカルな性質を確認する方法を数値的解析を進めることで明らかにする。 また、並行して、人工次元を用いた高次元シミュレーションを通じて現れる特徴的な現象を探していく。特に、上述の人工次元の方法もしくは既存の人工次元の方法を用いて、相互作用が存在する状況でどのような高次元物理現象が見られるのかを解析的・数値的手法を組み合わせて調べる。
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Research Products
(7 results)