2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study of high dimensional physical phenomena in ultracold atomic gases
Project/Area Number |
19K21042
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小澤 知己 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 客員研究員 (80825993)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 冷却原子系 / 人工次元 / 人工量子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工次元の新しい提案を行うことに成功した。当初の計画では冷却原子系を考えていたが、最終的には同様の状況をメゾスコピック系で考える方がより自然であることに気づき、ナノマグネットと結合した一次元メゾスコピックリング中の電子を舞台として人工次元を用いてトポロジカルな現象を解析した。この系においては電子間に相対位置にしか依存しない相互作用が存在しても人工次元の記述はそのまま用いることができることも示した。本論文は投稿中である。 また、冷却原子系においてトポロジカル・幾何学的な性質を測定する新しい方法を提案した。特に、以前のバンド構造における幾何学的性質の研究を拡張し、多体系・不純物系においても適用できる形にし、そのような拡張のもとで幾何学的構造と局在に関係があることを明らかにした。これはつまり、局在の性質を幾何学的構造の測定を通じて冷却原子系で測定できることを意味する。 また、冷却原子系をはじめとする人工量子系における人工次元についての包括的レビューを投稿・出版した。このレビューはこれからの人工次元を用いた高次元物理現象の研究に一つの視点を与えることになる。 実験家との共同研究では、冷却原子系とも関連の大きい励起子ポラリトン系を用いて擬磁場中でのランダウ準位の観測や蜂の巣格子中のディラック粒子の輸送現象の観測にも成功している。また、ダイヤモンドのNV中心を用いてパラメータ空間の幾何学的構造の測定を量子状態の量子フィッシャー計量と結びつけ、量子測定の精度に関するクラメール・ラオ限界を確認する実験を行った。将来的には、より高次元のパラメータ空間の幾何学的構造への研究とつなげたい。
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