2019 Fiscal Year Annual Research Report
チェレンコフ望遠鏡アレイ国際共同実験による突発天体の研究
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19K21043
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野田 浩司 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (00816837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高エネルギーガンマ線 / 突発天体 / ガンマ線バースト / チェレンコフ望遠鏡 / 電源システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、チェレンコフ望遠鏡アレイ(CTA)国際共同実験において、ガンマ線バーストなどの突発天体を理解することを目的としている。発生した突発天体に素早く大口径望遠鏡(LST)を向ける際には、大電力を供給するための特別な電源システムが必要となる。合計4台建設予定のLSTに必要な電源システムは既に観測地に設置されており、1台目については建設済みのLSTと接続され運用中である。残りの3台は電源システムのみの管理運用となっている。これらを監視するシステムを構築する必要がある。 2019年度には、2018年度に1台目に搭載したProgramming Logic Controllerを3台追加で準備し残りの電源システムに実装した。また1台目での経験を受けネットワークを変更した。従来の方法だとローカルからの監視しかできなかったため、1台目と同様に別のケーブルを敷設し、観測者がアクセス可能なネットワークから監視できるようにした。これらを滞りなく行うために観測地へ一度渡航した。 これらの細かい作業の積み重ねとして、1台目LSTでかに星雲からのガンマ線を2019年12月に初観測し、2020年からは安定観測に入っている。この成果は共同研究者によって物理学会で発表された(学会キャンセルにつき概要のみ)。 一方、2018年度中にMAGIC望遠鏡で発見されたガンマ線バーストのデータ解析を行い、2本の論文をNature誌から出版した。ガンマ線バーストからのTeVガンマ線の初検出、かつ従来の放射機構で説明できない成分の発見となった。この成果を日本で開催された2つの国際会議や各種国内会議で発表し、また記者会見などで広く公表した。MAGICはCTA LSTの原型であり、かつ同じ観測地にあるため、同様の物理成果を大口径望遠鏡で出していく上で非常にインパクトの強い成果である。
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