2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on structure and impact in carbon-burning process of 12C+12C resonance
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18H05863
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
千葉 陽平 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任助教 (20829832)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | クラスター / 炭素燃焼過程 / クラスター共鳴 / 分子共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では 12C+12C 共鳴の構造と恒星内で起きる炭素燃焼過程における 12C+12C 共鳴の寄与を解明することを目的としている。そのうち、本年度は 12C+12C 共鳴の構造の解明に取り組み、24Mg に現れる、正パリティの共鳴の構造・エネルギーを反対称化分子動力学を用いて理論的に調べた。その結果、12C+12C クラスター構造や 16O+2α クラスター構造など、多様なクラスター構造を持った共鳴が 24Mg の励起状態に現れ、それらが互いに結合・共存することがわかった。また、12C+12C 崩壊閾値近傍に大きな12C 崩壊幅を持つ 0+ 状態, 2+ 状態を複数予言した。これはクラスター構造を仮定しない微視的理論による初めての予言であり、今後炭素燃焼過程における12C+12C共鳴の寄与を解明する上で、非常に重要な結果である。さらに観測されている 12C+12C 分子共鳴との比較を行うために、反対称化分子動力学で得られた共鳴間の換算電気四重極遷移確率 B(E2) の解析を行い、クラスター回転バンドの同定を試みた。しかし、12C+12C クラスター構造とそれ以外の構造の結合によって 12C+12C クラスター構造の自由度が分散し、単純なクラスター回転バンドの同定が困難であることがわかった。ただし、得られた結果から想定される慣性モーメントは観測されている 12C+12C 分子共鳴の慣性モーメントと近いこともわかった。これらの成果は日本物理学会を始めとする国内学会及び国際研究会等で発表済みで誌上論文として投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた、24Mgに現れる共鳴のスピンパリティ・エネルギー・クラスター構造の解明についてははほぼ予定通り遂行できたものの、同時に予定していた崩壊幅の評価手法の開発及び大型計算機への最適化については未だ準備段階で実装に至っていないため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究により共鳴の記述に成功したため、今後は以下の2点を行う方針である。
1. 理論計算と観測データとの比較による共鳴の構造の同定:すでに観測されている共鳴状態についてはE2遷移やM1遷移などにより低励起状態へと崩壊することがわかっている。これらを詳細に比較検討し、対応する共鳴を同定することで観測されている共鳴の構造を明かにする。
2. 崩壊幅の評価法の開発及び最適化:12C崩壊幅のうち、12Cの2+状態への崩壊幅を調べることが共鳴の構造を理解する上で重要であるが、現在用いられている評価法では精度良く評価できない。そのため、評価精度を改善する手法を開発し、大型計算機への最適化を行う。これにより、12C+12C共鳴の崩壊幅を包括的に調べることが可能になり、12C+12C核融合反応率を評価も可能になる。
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Research Products
(7 results)