2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on structure and impact in carbon-burning process of 12C+12C resonance
Project/Area Number |
19K21046
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
千葉 陽平 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任助教 (20829832)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | クラスター構造 / 炭素燃焼過程 / 核構造 / 分子共鳴 / クラスター共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では 12C+12C 共鳴の構造と恒星内で起きる炭素燃焼過程における 12C+12C 共鳴の寄与を解明することを目的としている。本年度は前年度までに理論的に予言した共鳴状態を解析や手法の開発を行った。具体的には以下の3点に取り組んだ。 1.これまでに得られた共鳴状態の波動関数から E2 遷移の強度を求め、観測データとの対応関係の解明を行った。結果として共鳴状態が分散しているため直接的・定量的比較は困難なものの、定性的な対応関係が得られた。国内学会及び国際研究会で発表済みで誌上論文として投稿準備中である 2. 24Mg の低励起領域に現れる 1- 状態の構造の解明を行った。24Mg の低励起状態の1-状態は渦励起状態として近年注目されており、12C+12C 構造を持つ可能性が指摘されていた。そこで反対称化分子力学で 1- 状態の構造解析を行い、1- 状態における渦状態のクラスター構造を理論的に調べた。その結果、12C+12C 共鳴は渦状態ではない別の1-状態として現れることを予言した。誌上論文として投稿中である。 3.12C 崩壊幅の評価法の開発に取り組んだ。具体的には崩壊幅の評価に用いる Laplace 展開法を数値計算に適したものへと改良を行った。この改良により、12C 崩壊幅の評価法の定式化が完了した。また、この手法を用いた 12C 崩壊幅の予備的な数値計算を開始した。この手法により計算時間・計算精度の改善が期待でき、構造を仮定しない微視的理論による初めての予言が可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
励起状態の構造や遷移に関する解析は進んだものの、12C 崩壊幅の評価法の開発は予備的計算までであり、その検証や適用を終えておらず、結果が得られていない。そのため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実施状況を踏まえて、以下に取り組む。 1. 12C崩壊幅の評価:本年度から継続し、手法の検証を行い、24Mgの 12C+12C共鳴に適用する。これにより、共鳴パラメータの理論的な予言を行う。 2. 12C+12C 核融合反応率の評価:得られた 24Mg の励起状態の共鳴パラメータから 12C+12C 核融合反応率を評価する。それと同時に核融合反応率を微視的に評価する手法についても検討する。 以上のように得られた反応率を観測データと比較することで 12C+12C 核融合反応における 12C+12C 共鳴の寄与が具体的に明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の実施状況がやや遅れているため、本年度参加予定していた国際研究会への参加を取りやめ、次年度別の国際研究会への参加に変更したため。
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