2020 Fiscal Year Research-status Report
超高温高圧その場物性精密測定から導き出す最下部マントルの地震波異常の原因
Project/Area Number |
19K21049
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
増野 いづみ 岡山大学, 惑星物質研究所, 特任助教 (50822102)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超高温高圧実験 / 下部マントル / ダイヤモンドアンビルセル / 外熱式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、真空チャンバーおよびグラファイトをヒーターに用いるなど、外熱式ダイヤモンドアンビルセルのセル構成を工夫することにより、実際の地球下部マントル領域を網羅するような条件まで発生温度圧力を拡張し、X線回折法や各種分光法と組み合わせ、マントル物質の物性を明らかにすることを目的として研究を実施してきた。研究代表者は、令和2年5月末まで海外における研究滞在のために約1年半本基金を中断していたが、令和3年6月より現所属である岡山大学惑星物質研究所に着任したため、本研究を再開した。 現在までに、外熱式ダイヤモンドアンビルセルシステムを用い、実際に下部マントル温度圧力条件での実験を行った。最近の密度汎関数法を用いた研究で、ブルーサイト, Mg(OH)2が下部マントル温度圧力領域で相転移を起こすことが予測されていた(Hermann and Mookherjee, 2016, PNAS)。実験の結果、予測されている新相の圧力領域よりも高い圧力にて、Mg(OH)2の低圧相でもMgOでもない新しい回折線が得られた。現在得られたXRDデータを解析し、新相との関係を考察している。 一方で、海外渡航前後で日本における所属機関が異なったため、令和2年度は研究環境・機材の観点から見るとほぼ一からのスタートとなった。該当年度はまず現所属の惑星物質研究所にて外熱システムを新たに構築すべく計画を立ててきた。現所属の惑星物質研究所設置のラマン分光システムに現存の真空チャンバー外熱システムが導入可能かを検討し、ラボ実験を進めている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外渡航前後で所属機関が異なってしまったため、研究環境の観点から見るとほぼ一からのスタートとなったが、今年度は現所属の惑星物質研究所にて外熱システムを新たに構築すべく計画を立ててきた。 現在までに、外熱式ダイヤモンドアンビルセルシステムを用い、実際に下部マントル温度圧力条件での実験を行うことができた。最近の密度汎関数法を用いた研究で、ブルーサイト, Mg(OH)2が下部マントル温度圧力領域で相転移を起こすことが予測されていた(Hermann and Mookherjee, 2016, Proc. Natl. Acad. Sci. USA)。本研究にて構築した外熱式ダイヤモンドアンビルセルシステムを用いて、Mg(OH)2の新相の安定領域と予測されている~40 GPa, ~800 Kの温度圧力領域におけるラマン分光測定および放射光X線回折(XRD)実験を行った。その結果、予測されている新相の圧力領域よりも高い圧力にて、Mg(OH)2の低圧相でもMgOでもない新しい回折線が得られた。現在得られたXRDデータを解析し、新相との関係を考察している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる今年度は、岡山大学惑星物質研究所にて外熱式ダイヤモンドアンビルセルシステムを実際に使用して高温高圧実験を行う。特にラマン分光法を用いて、上部マントルから下部マントル圧力下における高温測定を行う予定である。また得られた結果を学会にて発表・学術論文としてまとめる予定である。
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